教学体制の保全に関する質問書(2004年9月17日)

学生自治会執行委員会,人文科学研究科院生会,史学科院生会,社会科学研究科院生有志




平成16年9月17日

東京都立大学総長 茂木 俊彦 様

教学体制の保全に関する質問書

 私たちは、東京都立大学に在籍する学生・院生として、今後いかなる事態があ ろうとも、ゆらぐことのない私たちの地位と権利をここに確認するとともに、私 たちの学習研究環境の保障に直接責任を負う教学体制の保全を求めて下記の事項 に関して質問いたします。
 いかなる外部の高圧的な管理も私たちの学習研究環境とは相容れない性質のも のであること、私たち学生・院生すべては、都立大本来の教育と研究環境を当然 に享受すべきであること、並びに、その自由な学生生活は脅かすことのできない 価値であることをご理解いただきたくお願い申し上げます。



 私たち東京都立大学の学生・院生は、これまで一貫して私たちの学習研究環境 の保障を求めてきました。しかし、現在まで具体的な回答は何一つ示されていま せん。このような中で、公立大学法人首都大学東京定款(たたき台)が示され、 その附則第11項は、「第19条第1項に規定するもののほか、法人に旧大学ごとに 当該大学の教育研究に関する重要事項を審議する機関として、教育研究審議会を 置く」としており、さらに同12項は、現大学の教育関連事項を決定するにあたっ て、首都大学東京の規定を準用するとしています。

 現在、東京都立大学においては、カリキュラムの編成、論文審査に関する事項、 学位の授与などは、東京都立大学学則と学部規則、あるいは大学院学則、学位規 程等にもとづいて教授会の権限とされています。すなわち、私たちの教育研究に 関する責任主体ならびに学習研究環境の保障主体は、各学部あるいは各研究科の 教授会となります。東京都は、私たちが東京都立大学に入学したことをもって、 入学時の学則等によって定められた高等教育を提供する契約を締結しました。当 該契約内容は、契約当事者が東京都から公立大学法人首都大学東京へ変更された としても、信義則上、影響を受けるものではありません。私たちは東京都立大学 において、教授会等の現体制の責任のもと学習研究環境が保障されることで、初 めて契約の履行を得られたことになるのです。

 ところが、定款附則11項は「法人に旧大学ごとに当該大学の教育研究に関する 重要事項を審議する機関として、教育研究審議会を置く」としているのみで、 「教育研究審議会」と現大学の教授会との関係が明らかでなく、教授会が本来の 機能を果たすことができるかについて危惧を招くものです。私たちの学習研究環 境の保障主体である現大学の教授会が、今後十分にその機能を発揮できない状態 におかれるならば、公立大学法人首都大学東京が私たちに対して契約を履行する のは不可能となります。また附則12項は、現大学の教育関連事項を決定するにあ たって、首都大学東京に適用されるべき規定を準用するとしていますが、新大学 である首都大学東京の体制がいかなるものであろうと、そのようなものは現大学 に在籍する学生・院生にいささかも関係のないことです。公立大学法人が発足す るにともない、現東京都立大学の学則が不可避的に改変されるとしても、新大学 である首都大学東京の体制を東京都立大学に適用することは、当初私たちが入学 時に締結した契約に明らかに違反するものです。まして学則の改変が正規の手続 きを経て行われなければ、とうてい私たちの受け入れられるものではありません。



 以上の認識にもとづいて、以下の二つの点につき質問いたします。
 第一に、現東京都立大学が公立大学法人首都大学東京・東京都立大学として移 行した後も、現在私たちの学習研究環境の保障主体である教授会を、従来どおり 東京都立大学における研究教育のあり方すべてを最終的に決定し運営する機関と して、東京都立大学が存続する限り維持するつもりがあるかについてお答え下さ い。
 第二に、公立大学法人への移行に伴い、不可避的に学則を改変しなければなら ない場合、契約の一方当事者である私たちの意見を聴取・反映するつもりがある かについてお答え下さい。


東京都立大学 学生・院生連絡会議
学生自治会執行委員会
人文科学研究科院生会
史学科院生会
社会科学研究科院生有志
連絡先:renrakukaigi@yahoo.co.jp