東京都立大学人文学部文学科独文学専攻,要望書(2004/03/12)

東京都知事 石原慎太郎殿
東京都大学管理本部長 山口一久殿


要望書

誤った数字を何度も使うことに厳重に抗議するとともに, 貴ホームページより当該数字の削除を求める

本年2月4日に大学管理本部ホームページに示された国際文化コースの案の中に, 都立大学人文学部独文専攻が,仏文専攻と並んで「希望者のいない専攻」 に名指しされ「進学希望者2(A類)」と記されています。 この数字は,昨年12月24日の記者会見における 都知事発言の中で使われたものと同じであり, 人文学部全体に関わる誤った数字を持ち込んだものとして, 南雲人文学部長が12月25日に「不正な情報操作を即刻中止するよう強く要望する」 抗議を行いました。 また12月27日には,「開かれた大学改革を求める会」が, その数値の取捨選択は不正確かつ恣意的であり,データの捏造とすら呼び得るも のとして「都庁記者クラブ内マスコミ各社に対する声明」を発表しています。 それにもかかわらず,上記ホームページには本年2月,再度その数字が用いられ, さらには3月2日の都議会でも,石原都知事が再び事実を歪曲する数字を繰り返して 答弁しています。 ここで現実の数字を再度確認し, 誤解に基づく単一の数字のみを繰り返し挙げることに厳重に抗議するとともに, 貴ホームページより当該数字の削除を求めるものです。

2003年度の独文進学者はA類で2名でしたが,B類は3名で合計5名で した。2004年度は,受け入れ上限人数9名のところ 8名が独文専攻に入ってくる予定になっています。


  A類 B類 合計
4年生: 8名 2名 10名
3年生: 7名 4名 11名
2年生: 2名 3名 5名
次年度2年生: 6名 2名 8名

情報操作であると主張する根拠は, 単年度のA類のみの数字を挙げて,あたかも全体の学生数のように強調 している点です。それに基づき「社会的ニーズの低下した分野」 と断定することは,間違った資料解釈に基づく判断です。 上の表の2という数字は単年度の,一つの枠(A類)に関するものでしかありま せん。ちなみに現在の独文専攻の在学者総数は,学部学生26名,大学院生23名です。

このような事実と再三に渡る抗議にもかかわらず, 同じ歪曲して解釈した数字を使い続けることに,都立大学独文専攻では 強い怒りを感ずるとともに,都政を司る者はその責任をわきまえ, 間違った資料解釈に基づく判断であることを認めて陳謝し,直ちに 貴ホームページの当該数字を削除するようにあらためて要望します。

2004年3月12日


東京都立大学人文学部
文学科独文学専攻
専任教員一同