『都立の新しい大学の構想について』に対する抗議声明

2003年10月5日
首都圏大学非常勤講師組合執行委員会


『都立の新しい大学の構想について』に対する抗議声明

石原都知事は、8月1目の定例記者会見で、「都立の新しい大学の構想について」を 発表した。 また大学管理本部は、それをうけて「新しい大学」の具体像について一定 あきらかにした。  それによれぱ、現行  4  大学を「再編・統合」して新大学を設立する という既定の改革路線を破棄して、 新しい大学を地方独立行政法人として別に設立 することになる。昨年5月以来、大学管理本部は都立新大学設立準備委員会を中心 に、 4 大学の「再編・統合」を基礎として、 2005 年新大学開学にむけた準傭を進めて きた。にもかかわらず、今度の「新構想」は一部の「専門家の意見も聞きながら、教育・ 研究の在り方等を検討して」きた緒果、当の大学関係者には一切相談なく唐突に出さ れてきたものである。  手続きの点からも内容の点からもきわめて間題があるといわ ざるをえない。

現に昨年、わが組合が大学管理本部との間でおこなった団交にもとづき、10月3 日に新大学設立の経緯と今後の予定について、全非常勤講師に対する説明会が開催 された。  そこで説明された内容と今回の「新大学」のそれとはまっ たく別物である。  学部構成は大幅にスクラッププアンドビルドされ、; それにともなって教職員も入れ替 えが予定されている(雇用の継承よりは公募による新たな雇用)。大学管理本部長は、 団交の席上わが組合に対し、新大学設立にあたって「非常勤講師の雇用継続につ いては、格段のご配慮を新大学の教授会に要請する」と明言した。

今回の「新大学構想」は、わが組合と大学管理本部との間のこれまでの交渉や確約 を危うくする可能性かある。と同時に、現行4大学の「再編・統合」による新大学設 立にむけた教職員のこれまでの努カを一方的に無に帰する可能性をもつものである。 営利法人でさえ、大幅な事業改編には杜会的な責任が問われる今日、学校法人たる 大学の改編にあたっては、その公共性(都立4大学は都民全体の財産であること)か らみて一層重い社会的な説明責任と配慮が求められることになる。現に、「地方独立 行政法人法」の付帯決議には「憲法が保障する学問の自由と大学の自治を侵すことが ないよう、大学の自主性・自律性を最大限発揮しうるための必要な措置を講」じ、「雇 用間題、労働条件について配慮し、関係職員団体又は関係労働組合と十分意思疎通 が行われるよう、必要な助言を行う」こととされている。

私たち首都圏大学非常勤講師組合は、「都立の新しい大学の構想について」の撤回を もとめるとともに、都立4大学の専任教職員、非常勤教職員、院生、学生などすべ ての大学構成員の協議と合意にもとづき、都立新大学の民主的な創造を実現するこ とをもとめる。


2003年10月5日
首都圏大学非常勤講師組合執行委員会