東京都による基礎データの歪曲に抗議する 東京都大学管理本部はこれまで再三にわたり、プレス発表や都議会本会議・各 種委員会において、都立大学、なかんずく人文学部に係る基礎データを歪曲して 発表して来た。これは、現在設置準備が進められている新大学の構想において、 都立大学を半ば解体し、とりわけ現人文学部については、実績ある専攻の多くを 廃止するという都の方針を正当化するため意図的に行われていると考えざるを得 ない。すでに指摘されて来たように、大学管理本部の挙げる数字は捏造というに 近く、真正のデータとはまったくかけ離れたものだからである。東京都のこのよ うな姿勢は、およそ公正を旨とすべき地方公共団体にはあるまじきものであり、 そのことは、すでに文教委員会(11月13日)において行われた質疑などを見ても 十分に明らかである。 しかるに、去る12月24日の記者会見の席上、今度は知事までが、同様の歪曲さ れたデータをもとに、現都立大学および人文学部の存在理由そのものを否定する ごとき発言を行ったことは、まことに遺憾と言わざるをえない。教員一人当たり の学生担当数、学部卒業後の学生進路など、人文学部に直接に係る諸データは、 驚くべきことにこれまで大学管理本部が繰り返して来たものと何ら変わらぬもの であった。しかし、このデータについては、すでに再三抗議を受け、管理本部自 身が行き過ぎを認めていたはずである。 以上の理由により私は、大学と学部の名誉を不当に貶めるこのような行いに対 し断固抗議せざるを得ない。また、ここに改めて、民主的手続きを無視して秘密 裏に策定された新大学構想とその準備過程を批判するとともに、それを正当化す るために行われるいっさいの不正な情報操作をやめるよう強く要望する。 以上
2003年12月25日 都立大学人文学部長 南雲智
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