総長・各学部長による説明会に関する要望書

2004年5月12日
東京都立大学学生自治会執行委員長 石塚 誠

2004年5月12日

総長・各学部長による説明会に関する要望書

学生自治会執行委員長
石塚誠

学生自治会執行委員会が今年度の新入生を対象に行なったアンケートによると、 新入生の多くが大学改革によって自分たちの学生生活に影響があると考えていま す。(アンケート結果は別紙を参照ください)ですから、総長・各学部長による 説明会が開かれることは非常にありがたい事だと思います。しかし、新入生は大 学改革について深い知識を持ちあわせていませんので、出来る限り前提知識のな い学生にもわかるような説明をお願いいたします。 また、学生自治会執行委員 会として、新入生アンケートの結果をうけて大学改革説明会において以下の事柄 について説明して頂くよう、要望いたします。

1、新大学開学後の少人数教育維持について
 わたしたち学生自治会執行委員会が、新入生対象に行なったアンケートによる と、都立大学の魅力として、回答した約半数の学生が少人数教育をあげました。 しかし新大学では、これまでは科学技術大学で履修していた一、二年次の学生が、 また保健科学大学で履修していた一年次の学生が、南大沢キャンパスで履修する ことになります。このような状況の中で本当に少人数教育が維持されるのでしょ うか?
 もちろん、これまでよりも教員定数が削減されるのですから、増員は難しいか もしれません。しかしその中で、大学執行部として少人数教育を実施できるよう に対策を考えているのでしょうか?例えば、教員の負担は増えてしまいますがこ れまでよりも教員一人あたりの講義数を増やすなど、具体的な対策があれば是非 ご回答下さい。もし対策がないのなら、大学執行部として少人数教育をどのよう に考えているか、お答え下さい。

2、来年度以降の開講数について
 今年度法学部の開講数は約130から約100に減少しました。それは、ロースクー ル開講による影響だけでなく、昨年度退任された先生方の補充がなされなかった ためではないかと思います。このような、講義を担当する教員不足のために開講 数が減少するという事態が来年度以降、全学部で起こらないとは言い切れません。 特に、経済学部の教員が十数名新大学に就任されないそうですが、経済学部の一 般教養科目・専門科目の来年度開講数に影響はないのでしょうか?
 大学執行部として、今年度の法学部のような事態の阻止のための対策がありま したらお答え下さい。

3、来年度以降の研究分野について
 新大学の教員定数が約六割に削減されそうですが、教員削減の影響が都立大学 にも出てきています。例えば史学の研究分野である中国前近代史の教授が2002年 度に退官し、昨年度は非常勤講師として学生の指導をされていましたが、今年度 からは非常勤講師も辞められて、その後補充はなされていません。


 新大学においては教員定数が現状よりも削減されますが、現在いる学生の学習 環境はどうなってしまうのでしょうか。もちろん、予算との兼ね合いで教員の雇 用人数、つまり研究分野が決定されるとはいえ、大学管理本部は現在都立の大学 に在籍している学生の学習環境は保障すると言っているのですから、都立大学の 研究分野が減っていくというのは、明らかに問題なのではないでしょうか?
 このことに関して、大学執行部はどのようにお考えでしょうか?また、今ある 研究分野を、新大学が開学された後も存続させるために、どのように行動してい くつもりなのでしょうか?お答え下さい。

4、来年度以降の予算について
 来年度から都立大学も公立大学法人の設置する大学の一つとなり、ある程度独 立した採算性が求められます。それにより、各部野に配分される予算が減ってし まうのは目に見えています。さらに、経営準備室の意向にそぐわない研究はより 一層予算が減ってしまいます。経営と教学が分離された以上、目先の利益だけが 得られる分野の教育研究のみが保障されるという事態がないとは言い切れません。 基礎的、長期的な研究を必要とする分野を含め全ての学問分野がきちんと保障さ れるのでしょうか?そうでなければ、理学部や人文学部のような基礎的、長期的 な研究を必要とする分野に進学したい学生が進路を変更せざるをえない事態がお こってしまいます。
 大学管理本部が設置されて以来、それまで以上に大学としての希望が通りにく くなっているかもしれません。しかし、だからと言って看過して良い問題だとは 思いません。また、大学全体の予算が減少すれば、学生が行なう課外活動に分配 される予算も減少してしまいます。
 大学執行部として、都立大学に分配される予算の拡大のためにどういった行動 をするつもりなのでしょうか?

5、学費について
 前述した新入生へのアンケート結果では、都立大学の魅力に低学費を選ぶ学生 が283人いました。しかし公立大学法人の設置する大学の一つとなり、ある程 度独立した採算性が求められると学生も法人の収入源とみなされるおそれがあり ます。そうなれば「受益者負担」の論理で、授業料だけでなく施設使用料などの 負担が増えたり学部別の授業料の導入も考えられます。現在の日本全体の不況の 中で「学費の負担はない」という学生ばかりではありません。低学費は、学費の 負担に苦しんだり、低学費を希望する学生に学ぶ機会を与えるだけでなく、教育 機関としてすばらしい特色の一つです。
 また、現在いる学生も都立大学の低学費を入学の動機にあげていることはこれ までの大学の実施したアンケートでも明らかです。もし、現在いる学生に対して も大幅な授業料値上げがされるなどの事態が起きれば、詐欺だと感じる学生も少 なくないでしょう。
 学費の負担を低くするためになにか行動を起こす考えはあるのでしょうか?お 答えください。

以上