在学期間の上限に関する学則変更要請に対する声明

東京都立大学人文学部教授会(2003年12月11日)


在学期間の上限に関する学則変更要請に対する声明

東京都大学管理本部は、10月31日付通知「法人化後の現大学の取扱い方針に ついて」において、新たに設置される公立大学法人のうちに、経過措置として現 大学を平成22年度まで存置する方針を示した。そして、これに係り、大学に対 し一方的に、(1)学部及び大学院の学生については、在学期間を第一期中期目 標期間とする、(2)休学期間は在学期間に含める、の2点にわたり、現行学則 の変更を求めて来た。しかし、人文学部教授会は、学生に対する重い責任を自覚 し、次の理由により全会一致でこの学則変更を行わないことを決定した。

1.学則改正は、東京都立大学条例(第8条、6.二)により評議会の専決審議 事項であり、設置者といえども、正当な理由なく大学にこれを強要することは不 当な介入にほかならない。このような行いが、憲法および教育基本法に定められ た学問の自由と大学の自治を侵すものであることは明白である。

2.入学時の学則は、大学と学生の間の契約とみなすべきであることから、すべ ての在学生は、学則によって示された就学上の権利を十全に保障されなければな らない。一方、いかなる理由であれ、大学が学生に不利益が生ずるような学則変 更を一方的に行うなら、この権利が損なわれることは明白である。

3.経過措置による現大学の存置期間は、学則上の在学期間の上限に合わせて設 定されるべきであり、大学管理本部のごとく、現大学の存置期間をまず決定し、 次いで、それに合わせ在学期間の上限を縮減しようとするのはまったくの本末転 倒と言うべきである。たとえ学則変更の結果形式的に法規上の整合性を満たすこ ととなったとしても、事実上、在学生の学習権が侵害されることに変わりはない。

4.第2の要請である休学期間の在学期間への算入についても、予定として示さ れた現大学の存続期間が不当に短いゆえに初めて必要になるものであり、休学の 定義そのものからして極めて不自然な措置と言わなければならない。設置者たる ものの公的責任は、むしろ逆に、入学時学則の定める休学の取り扱いを保障する ことによってのみ果たし得るのであり、正当な根拠を欠いた存続期間の設定によ り、在学生に不利益が生ずる事態こそ避けるべきものである。

以上


2003年12月11日

東京都立大学人文学部教授会