石原都知事は「痛くも痒くもない」

(「日経ビジネス」11月29日号,P.157)




石原都知事は「痛くも痒くもない」

東京都立大学の一部教授陣が首都大学東京の構想に反対し、COEプログラムを断 念せざるを得なくなったことについて、東京都の石原慎太郎知事は 「一番頑固な保守的な退嬰的な反対派が腹いせにああいうことをやったんだろう けど、痛くも痒くもない」と全く意に介さない姿勢を見せている。
 そもそも都立大と東京都の対立は、昨年8月に石原都知事が 「これまでの学問体系にとらわれず、学部は新大学の指名に合わせて再編する」 と、学部構成を一から作り直す構想を打ち出した時から深刻化した。 以降、「都立大と協議していては改革できない」とする都側と、 現状維持を望む大学側との溝は深まり、それが今回のCOEプログラム断念という 形で顕在化した。
 石原都知事は今年10月15日の記者会見で 「今のままでも研究を進められるし、それが充実してきたら、また (COEプログラムを)申請し直して、違う方法で国の援助も仰ぐことができるでしょ う。(都立大がCOE継続を断念した)ああいう姑息なことをやらない方がいいよ。 あれが学者かと思うぐらい浅はかだね」と斬り捨てた。
 今のところ、今回COEプログラムを断念した近代経済グループ以外の教員は、 首都大学から離脱する動きは見せていないが、石原都知事をはじめとする都側 の論理に根強い不満を持つ教員は多い。都側はこれまで通り、他大学の受講を単 位に認めるほか、将来は都庁にビジネススクールを設置するなど「魅力ある 大学づくり」を進める考えだが、教員との確執や新大学の人気減少など問題は山 積している。(編集部)




COMMENT:
1. 石原都知事の発言をそのまま引用している箇所があまりにも多い。 しかも、好意的に解釈しているふしがある。(好意的解釈をしていないのなら、 このようなタイトルはつけないだろう。)
2. そもそも都立大と東京都の対立は、昨年8月に石原都知事が 「これまでの学問体系にとらわれず、学部は新大学の指名に合わせて再編する」 と、学部構成を一から作り直す構想を打ち出した時から深刻化した。
というのは,石原流解釈。このように言っただけなら、誰も反対しない。 2年以上積み重ねてきた改革案を一方的に白紙に戻し、大学側の意見を聞かない 体制を作ったから、対立が深刻化したのだ。
3. 以降、「都立大と協議していては改革できない」とする都側と、 現状維持を望む大学側との溝は深まり、それが今回のCOEプログラム断念という 形で顕在化した。
大学側が改革を拒否して「現状維持を望んだ」という事実はない! 一体、何を調べているんだ。>日経ビジネスの記者
4. 今のところ、今回COEプログラムを断念した近代経済グループ以外の教員は、 首都大学から離脱する動きは見せていないが
馬鹿を言っちゃいけません。2003年12月の法学部4教授抗議辞職のニュース、 知らないんですか? 2003年8月1日以降、およそ100人が首大を拒否しているんで すよ。首大ホームページに出ている教員数は498名、2003年8月1日の都立4大学 の教員合計数が598名。数字に厳しい日経ビジネスの記者なら、これくらいの 数字の裏づけをして欲しいなあ。こんなに短期間で、100人も出ていく大学は、 日本の歴史になかったことだ思いますよ。調査不足!>日経ビジネスの記者
5. 将来は都庁にビジネススクールを設置するなど「魅力ある 大学づくり」を進める考えだが、
2003年4月から東京都立大学にビジネススクールがすでにスタートしていて, 首都大学東京もこのビジネススクールを引き継ぐだけです。「将来設置」という のは,調査不足! >日経ビジネスの記者