アジア技術者、都が研修―ソウルなど10都市と提携、首都大など受け入れ

日本経済新聞(2005年3月9日、朝刊)

 東京都は二〇〇六年度からアジアの主要都市と提携し、外国人技術者の研修事 業に乗り出す。各都市から派遣された技術者を都内の企業や、四月に開校する首都大学東京で一〜二年間受け入れ、情報技術(IT)や機械工学などの最新技術を実地で学ばせる。アジアとの技術交流を促進するとともに、都内の企業が海外で事業を展開する際の人脈づくりにもつなげたい考えだ。
 都が提携を検討しているのはソウル、台北、ハノイ、バンコク、ジャカルタ、シンガポール、クアラルンプールなど十都市。既にハノイ、シンガポール、ジャカルタの三都市が、技術者を派遣したいとの意向を都に伝えてきた。
 今夏にも十都市に対して研修事業の概要を正式に伝え、派遣技術者の募集を開始する。若手や中堅の技術者を想定し、初年度の受け入れ枠は十人程度。受け入れ先となる企業や大学研究室は、各都市が希望する研修の内容に応じて選定する。先に参加の意向を伝えてきた三都市からはITや機械、通信、運輸などに関する研修希望が出ている。
 東京への派遣が決まった技術者に対しては、技術研修が始まる半年前から、首都大学東京などを通じて日本語の事前学習を実施する。技術者が母国に滞在したまま学習できるように、インターネットなどを用いた遠隔教育システムを活用する方針だ。
 研修成果や派遣元の都市の評価が高ければ、将来的に事業を拡大することを検討する。都は「アジアの各都市に高い技術を持つ人材が育てば、都内の企業が現地に進出した場合にも設備のメンテナンスなど技術的なバックアップも受けられる」(産業労働局)と期待している。