首都大学東京学則(大学院学則)意見に対する回答

(2005年2月7日,東京都大学管理本部)


○ 学則について

 「第1条 首都大学・・・・・、大都市における人間社会の 理想像を追求することを使命とし、大都市圏の教育機関及び研究機関等と連携し て、広い分野の知識と深い専門の学術を教授研究するとともに、・・・ ・・」
★ 「・・・連携して、・・・追求することを使命とし、」では、「東京圏の関 連機関との連携」も、「使命である」かのごとく読まれてしまう。連携は、使命 達成の手段であるべき。
★ 「東京圏」だけでなく、アジア、世界の大都市圏との連携を目指すべきでは ないか。

⇒  「・・連携して、」としてあり、使命には直接かからないと考えている。 また、ご指摘のとおり「東京圏」との連携を目指すのでは範囲が狭いことは認識 しており、そのことだけを目指しているものではない。ただ、表現としては、大 都市東京をキャンパスとして展開することを明確にする観点から、「東京圏」と いう表現を用い、「研究機関等」という表現で、ご指摘するような意味を表現し ている。

 第7条の職員の構成の中に「学系長」を位置づける。 →人事管理 上、管理職に位置づけられているとともに、学系教授会を主宰し、一定の権限を もつ立場の者であるため。

⇒ 学部、大学院、センターという大きな括りの長を明記しており、学部内に置 かれる学系の長たる学系長をここに記載するのは全体としての均衡を失する感が ある。ただし、学系長の重要性に鑑み、職や権限を定める規定には、当然、明記 する必要があると認識している。

 第1章第5節教育研究審議会等の第8条について。
当審議会の構成員に関する記述は、その位置と役割から考えて本来は制限列挙方 式にすべきである。過渡的性格ももつところから、今回はこれでも仕方がないと もいえるが、18年度からの構成員に関する記述では方式を改めるのが適当であ ろう。

⇒ 教育研究審議会規則(仮称)で、限定列挙する。

 同節第9条の4について。
  「教授会は、次に掲げる事項を審議する」でよい。すなわち「教育研究審議 会の議を経て学長が定める基本方針に基づき」を削除する。
この文言を挿入する意図は明白であり、それには賛成しかねる。ここではその意 見表明は差し控える。だが、そのことは横に置いて考えてもこの規定にはリアリ ティがなく、問題がある。このような規定を入れると実際には教授会の審議はし ばしばストップするであろう。常に教育研究審議会の「議」があったことが示さ れる必要があるし、学長の定める「基本方針」は、これまた常に、文字通り何が 「基本」であるかについて誰にもわかるような明確さをもって示されなければな らなくなる。逆に上記のような「議」と「基本方針」が前提となるならば、教授 会の審議はそれから逸脱することが許されないということになり、自由な審議と 問題提起等が行われなくなる危険がある。

⇒ 教育研究審議会という全学的な協議の場での議論を経て決められる基本方針 は、いわば、全学的な合意事項であり、当該合意事項に沿って第9条に掲げる事 項を審議しなければ、むしろ全学的な統一が取れないのではないか。
   また、このことが自由な審議と問題提起を、必ずしも阻害することになる ものではないと考える。

 第10条第4項に基づく別記定める事項(代議員会規程)について は、早急に案をしめしてもらいたい。

⇒ 代議員会の関係については、現在、検討中である。できるだけ早期に内容を お示ししたい。

 休学の取扱いについて(首都大学東京学則第27条)、休学の取扱 いが現大学と大きく異なっている。最長年数も違うし、最長在学年限に休学期間 を算入するかどうかも違う。
 (しかもそれが、教職員の間でほとんど認識されていない)
 特に大学院は「暫定」であり、現大学から進学する学生も多いことから、大幅 な変更は混乱を招く。(博士で6年+休学3年いられると思っていたら、6年し かいられない、など。)せめて「暫定」大学院については、休学期間の取扱いを 現在と同じにしてほしい。

⇒ 現大学の休業期間が大学によって異なっており、最も長い期間に合わせて規 定した。また、最長在学年限については、基本的には、あまり長期にわたること は望ましくないことから、現行とは異なるものとしているが、ご指摘のような点 に柔軟に対応できるよう、教授会で期間を延ばすことができるように規定してい る。大学院学則については、新大学院についてもできうる限り対応できるように する必要があり、暫定大学院の取扱いのみを意識した一般規定とはしなかった。

 第27条第3項の「所属学部の教授会」を「所属教授会」に変更す る。→第4項では「所属教授会」と記載されており、表現が不統一であること、 学系の教授会権限となる事項であり、「所属学部」では実態とあわなくなるため。

⇒  所属は自明のことから、単に「教授会」に改める。

 同条第4項の「修業年限により在学すべき年数に算入しない」を 「在学年限に算入される」に変更する。→表現がわかりにくいため。

⇒  敢えて変更する必要はないと考える。

 第33条の「所属学部教授会」を「所属教授会」に変更する。

⇒ 「教授会」に改める。

10 科目名称の区分について(首都大学東京学則第35条)、この区 分と現在作成中の履修の手引における科目区分との間にいろいろな混乱がある。 早急に関係者間で意見交換をして、認識を統一する必要がある。そのため、学則 本文ではあまり詳細に規定せず、下記の3つの大分類くらいにしておき、学則別 表で具体的な科目を記載するのがよい。
 特に二の「共通基礎教養科目群」に様々な性格の科目が入っており、必ずしも 「基礎」とか「教養」の科目とは限らない。科目群の名称を「共通科目群」のよ うに、いろいろな科目が入りうる名称にしてほしい。
  一 都市教養科目群
  二 共通科目群
  三 専門教育科目群

⇒ ご指摘のとおり改める。

11 第42条について、次の項を追加すべきである。「3.学 生は、 全学の授業科目の中から指定された特定分野の授業科目を都市政策コー ス科目として、別に定めるところにより履修することが出来る。」
★ 都市政策コースは副専攻ではないが、学部をまたぐ授業科目となりうる。 (都市システム科学専攻からの授業もある)

⇒ 都市政策コースは、都市教養学部にあるコースであり、学部規則で規定する。

12 第69条に「学系長」を含めること。→人事管理上、管理職に位 置づけられているとともに、学系教授会を主宰し、一定の権限をもつ立場の者で あるため。

⇒ 必ずしもここに明記する必要はないと考える。


(他から出た意見)

 第59条について、但し書き以下を「理事長が特に必要と認めたと きは、この限りではない。」としたらどうか?

⇒ そのように修正する。


○ 大学院学則について

 第17条において、法曹養成専攻(法科大学院)については、都大 の学則時と同様に休学期間を3年としてほしいため、大学院学則にその旨定める こと。→大学院検討WGのなかでも大学院学則に対する意見を求めており、既に 12月には同様の意見も提出している。

⇒ 新大学各研究科の意向が3年ということで統一がとれれば、休学期間を3年 とする規定を整備する方向で検討する。

 第37条については、都大の第21条に対応して作成していると思 われるが、平成16年度に新設された条文(第21条の2:法科大学院の減免規程) について、対応する条文を大学院学則にその旨定めること。→都大の減免規程が 引き継がれないのか、「別に定める」のなかで規定されるのか、はっきりしてい ないこと、また、大学院検討WGのなかでも大学院学則に対する意見を求めてお り、既に12月には同様の意見も提出(斎田ライン佐々木氏)している。

⇒ 成績優秀者減免は学則に規定されており、特に問題はないと考える。

 現行30条について<学生寮>

・首都大学東京大学院学則第39条では「学生寮及び厚生保健施設については、大 学学則に定めるところによる」とされているが、都立大学大学院学則の当該規定 では「厚生保健施設については別に定める」とだけ規定されている。
当該規定は、寄宿舎規程における入舎対象学生が「学部正規生」と定められてい ることと整合しており、このためあえて大学院学則に「寄宿舎」の文言を入れて いないものである(事実上は、学生部長が特に認める場合として大学院生も入舎 している)。「〇〇寮」は院生を対象としていないことや、「寄宿舎」の入舎枠 は今後ますます厳しくなることから、大学院学則は従来どおりとしておくことが 妥当である。
このため、首都大学東京大学院学則第39条から「学生寮」の文言を削除し、「厚 生保健施設については、大学学則に定めるところによる」とすべきである。
 現在の案のような現大学と新大学の規定がチグハグな状態では、新大学大学院 生は学生寮の入舎対象だが、現大学大学院生は対象とならないと読まれかねず、 問題がある。

⇒ ご指摘のとおり改める。

 暫定大学院の在学期間について。
 事務系の意見にも見られるが、暫定大学院の学生の在学期間に関連する休学期 間の扱いについては、都立大学大学院の扱いを継承するものとする。理由は上記 の意見と同様であるが、在学期間が最長になる学生があらわれても実際的な問題 は生じないということもある。

⇒ 在学年限については、実質上の不利益が生じないよう教授会で認められた場 合に在学できるよう規定してある。