新大学「学則(案)」に関する意見(2004年6月17日)

東京都立大学人文学部教授会

2004年6月17日

新大学「学則(案)」に関する意見

東京都立大学人文学部教授会

「首都大学東京学則(案)」(「学則(案)」とする)については、 新大学の設置が認可された場合、本年7月2日までに文部科学省に提出することと されているが、6月14日の第2回教学準備委員会に提示された「学則(案)」は、 非常に問題のあるものと言わざるを得ない。
 人文学部教授会は、下記のとおり問題点を指摘し、修正の意見を述べるもので ある。

1. 「学則(案)」の基本的考え方に関する問題
 新大学は大学院部局化を既定方針としており、その考え方にもとづけば「大学 院学則(案)」を主とし、学部に関する「学則(案)」は従とするべきである。 従って、第一に「大学院学則(案)」第7条を「本学に学部等を置く。2 学部等 に関する学則は別に定める」に、「学則(案)」第5条を「学部等に関する 事務の執行は、関連する事務組織がこれにあたる」とそれぞれ改める。

 なお以下、教学準備会議に提示された学部に関する「学則(案)」について 問題点を指摘し修正を求める。「大学院学則(案)」の当該箇所も修正する ものとする。

2. 「教育研究審議会」「教授会」の構成ならびに権限等に関する問題
 「学則(案)」のうち「教育研究審議会」についての第8条, 「教授会」についての第9条は、きわめて大きな問題点をはらんでいる。
 第一に、第8条「教育研究審議会」については、構成員として 「学長、副学長、学部長及びその他学長が指名する者」とされているが、 第7条にある、研究科長、センター長を加えるべきである。また 「その他学長が指名する者」は「別に定める規定により選出された教授」 に改めるべきである。地方独立行政法人法第77条第4項は、 「教育研究審議機関は、学長、学部長その他の者により構成するものと する」と定められており、修文は可能である。

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 第二に、第9条第5項「教授会」の審議事項のなかには、 第8条第2項の「教員の採用及び選考等に関する方針に係わる事項」 に対応する項目がない。学校教育法第59条により教授会は 「重要な事項を審議するため」置かれると定められている。 また現行4大学学則にも明文規定があり、前条第2項に対応する 項目が入るのが至当である。従って、第9条第5項の一として 「教員の採用及び選考等に関する事項」を入れるべきである。
 同じく第9条第5項に規定された教授会の審議事項に、 「学部長・研究科長等の選出に関する事項」を加えるべきである。

 第三に、第10条「学部の教授会に代議員会を置く」は削除する。 教授会は「重要な事項を審議するため」(学校教育法第59条)置かれた機関であ り、そこでの議事を代議員会に代替させることはできない。

3. 新大学の教学に関する問題
 新大学の教学に関して、ここでは大きく分けて「学則(案)」 第35条の授業科目、第43条にある他大学等の授業科目の履修等について述べる。
 第一に、第35条の授業科目名についてである。3月29日の第7回教学準備委員会 では、「都市教養学部」という名称に関して委員の間から異論が続出した。 これは「都市教養」なるものが実体をともなった学問体系たりえないことを 示すものである。第35条には授業科目の括りとして「都市教養科目群」なるもの が設定されているが、特にアからウにある下位区分をあらわすのには適切な名称 ではないと考える。従って、「共通教育科目群」とするべきである。また「二  共通基礎教養科目群」は「基礎教育科目群」とする。
 加えて「都市教養科目群」のア「実践英語科目」が指し示す内容は、 非常に限定的であり大学における言語教育をあらわす名称としてふさわしくない。 従って、「言語科目(英語)」と改めるべきである。

第二に、第43条の他大学等の授業科目の履修等、第44条の大学以外の教育施設等 における学修、ならびに第45条の入学前の既修単位等の認定について。
 これらはいわゆる「単位バンク」に対応した条項であると思われる。 「単位バンク」が、学生に対する教育責任を果たす上で大きな障害になることは、 1月27日付「都立大学評議会の見解と要請」に示された通りである。 よって「学則(案)」第43条、第44条、第45条中、本学における授業科目の 履修により取得したものとみなすことができる履修・学修の単位、 ならびに入学前の既修得単位等の上限は、現都立大学、保健科学大学、 短期大学で認めている「30単位を越えない範囲」とするべきである。

以上      

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