東京都議会文教委員会(平成十六年十二月十三日)速記録をもとに要約(1)
◯質問
今いる学生の教育上の問題や身分保障など、学則は大きな役割を持ってくる。新しい学則はできているのか。
◯答え
来年四月の法人の設立に伴い、首都大学東京とともに、現在の都立の四大学もあわせて法人化される。このため、新大学及び現大学の学則を含めた現在の大学のさまざまな規程については、すべて法人の規程として新たに整備する必要がある。
現在、都立四大学の法人化後の学則につきましては検討中であり、現大学の意見も訊きながら内容を整理していき、法人設立とともに法人が学則を含めた諸規定を定めることになる。
◯質問
自分たちが今学んでいることがそのまま引き続き学べるのか、自分たちの立場は本当に変わらずにいられるのかなど、学生は、どのような学則になるか心配だと思う。
例えば履修方法やカリキュラムなど、学生の身分保障を含めて、今ある東京都立大学の学則と、法人化後の東京都立大学学則とでは何がどう変わってくるのかにつき説明を願う。
◯答え
法人化により、地方独立行政法人法に基づき教育研究審議会が設けられるなど、大学運営の組織や進め方が今までと異なったものになる。新しい学則ではそうした部分を反映させていく必要があるので、組織運営の部分を中心に学則の内容を変更することになる。
なお、教育内容を規定している部分や学生の身分保障に関する内容を規定している部分については、いわゆる教育保障の観点から、基本的には現在の学則の内容を引き継ぐものになる。
◯質問
現大学の学生から、法人の設立に伴い、学修教育環境や教育の権利が本当に保障されるのか、新大学優先で十分な対応がなされないのではないかという疑問や不安の声が寄せられている。新大学の設立は重要ではあるが、引き続き在学する現大学の学生に対し、情報提供がおろそかになり、不安を与えるような事態はできるだけ避けなければならない。
現学生、院生の最大の関心事は学則である。学則は、学生の身分や教育内容など、学生生活の基本事項を定めるものであるが、都立大学など現大学の学則は、法人化に伴いどうなるのか。
◯答え
来年四月の法人設立により、新大学とともに、現在の都立の四大学も法人化される。現大学の学則についても、法人の規定として改めて定める必要がある。
法人化により新たに教育研究審議会が設けられるなど、大学の組織運営体制は現在と異なるものとなる。また、授業料や入学料なども、東京都の規程により定められていたものが、法人の規程により定められるものとなる。新たに学則を定めるに際しては、このような変更点を反映させた内容のものとして整備していく必要がある。
なお、学生の教育内容にかかわる部分あるいは懲戒など学生の身分保障に関する内容を規定している部分については、教育保障の観点から、現大学を引き継ぐものとなるよう十分配慮していく。
◯質問
院生については、研究そのものや先生について学びたいことからこの大学に来ている方が多いと思う。そういう人に対して、二○一○年まで心配しないで学べるといい切って大丈夫か。
◯答え
現在の都立の大学あるいは大学院で勉強されている学生に対しては、教育保障の見地から、安心して勉強を進めていただけるように引き続き環境整備に努めてまいりたい。
◯質問
教員の人事については、大学の自治との関連で配慮が必要と考えられるが、どのような運用をしていくのか。
◯答え
地方独立行政法人法第七十三条では、理事長と学長を別に任命する大学における教員の人事は、学長の申し出に基づき理事長が任命するという規定になっている。その規定を受けて、教員の具体的な人選に当たっては、人事委員会で検討し、同審議会の審議を経て決定した教員の人事方針に沿い、専門分野の教員で構成する教員選考委員会で候補者を選任し、学長の申し出に基づき理事長が任命することとしている。
なお、教員は人事委員会あるいは教員選考委員会の構成員となるので、学生教育あるいはカリキュラム編成を考慮した教員の選考を行い得る仕組みとなる。
◯質問
教育研究審議会や経営審議会と教授会との関係はどうなっているのか。
◯答え
教育研究審議会は全学的な教育研究に関する重要事項を審議し、教授会については、部局ごとの教育研究に関する重要事項を審議するというふうにご理解い願いたい。(2)
◯質問
例えば教員の人事とか、さまざまなことを今まで教授会が審議して決めてきた。教授会は、これから、どういう責任を教学上の観点や教員人事の部分で果たしていくのか。
◯答え
教員の人事については、今まで教授会あるいは評議会等で審議してきたというのは事実である。それは、教育公務員特例法に基づいて教授会等で人事について審議して決定するということである。法人化すると教育公務員特例法が適用されなくなり、それにかわって地方独立行政法人法で、経営審議会あるいは教育研究審議会で重要事項を審議し、最終的には、人事に関して教員については学長の申し出でに基づき理事長が任命することになる。それを除く審議事項については、教授会はこれまでと同様というふうにご理解いただきたい。
◯質問
都立大学総長予定者選考規程では、学生が適任とは認めない総長を除斥する権利が規定されているが、今後もその趣旨が継続されるのか。
◯答え
現行の都立大の規程には、学生を総長の選考にかかわらしめるような規定があるが、こうした規定は、他の科学技術大学、保健科学大学、都立短期大学には存在しない。また、調べた限りでは、他の公立大学にもそのような規定は存在しない。
公立大学法人では、初代を除き、学長は学長選考会議の選考に基づき理事長が任命するということが地方独立行政法人法に明定されている(3)。
具体的な学長選考の方法等については、学長選考会議において決定することになるが、学生に除斥の権限を与えるような、学長選考会議にあらかじめ制限を設けるような規定を設けることは全く考えていない。
◯質問
現在、都立大学には学生部という部があるが、これは今後どのようになるのか。
◯答え
新しい大学、公立大学法人首都大学東京にいては(4)、学生サポートセンターし(5)、学生の支援に当たる。この学生サポートセンターは、首都大学東京のみならず、現在の四つの大学の在学生に対しても、新しい大学の学生と同様の学生支援を行う予定である。
◯質問
学生サポートセンターは、どのような組織体制で、どのような業務範囲になるのか。また、新大学在籍の学生と現大学の学生とで対応に違いはないのか。
◯答え
学生サポートセンターを開設するのは、どのように授業をとればよいかという履修相談、就職相談、日常的にいろいろ必要になる証明書といった書類の発行サービスなど学生に対するさまざまな支援(援助)をサービスと位置づけた上で、これらのサービスを学生が一カ所で、ワンストップで受けられるようにするためである。
このサービスの提供に関して、新大学と現大学の学生を差別的に扱うということは全くない。同等のサービスが受けられるというものである。
また、南大沢以外のキャンパスでは、キャンパスの規模や学生数の関係から、現在でも事実上ワンストップ化は実現されており、法人化後も基本的に現行と変わらない体制でサービスを提供していくので、現大学の学生に対するサービスが低下するということはない。
今後、キャンパス間の連携を図り、サービスの質を一層向上させていきたい。