大学評価・学位授与機構
平成14年度着手 分野別研究評価の特記事項


平成14年度着手 分野別研究評価


東京都立大学人文学部
大学院人文科学研究科
大学院社会科学研究科

◇ 特記事項※
対象組織から提出された自己評価書から転載

 人文学部は,1949年4月に旧制の都立高等学校, 都立 工業専門学校,都立理工専門学校,都立機械工業専門学 校, 都立化学工業専門学校及び都立女子専門学校の6校 を母体に誕生した都内唯一の公立総合大学の一学部とし て発足した。1953年4月には大学院人文科学研究科及び 社会科学研究科修士課程の設置に踏み切り,55年には博 士課程が設置された。
 人文学部設立当初より,人文学系各分野の先端的研究 者たちがスタッフとして参集し,時を待たずに人文学に おける中核的な研究組織としての評価を得るに至った。 学問の有機的連関を理解することの重要性を説く創設 時の理念に沿うように,人文学部スタッフは,時には積 極的に専門分野を越境して,国際的・学際的な学術研究 における第一線級の貢献をこれまで実践してきた。しか し,このことは人文学部の研究・教育において基礎研究 分野が蔑ろにされてきたということではない。むしろ, 基礎分野での研究蓄積と成果公開をどれほど実践してき たのかということが重視され,そのうえで,さらに当該 研究者がどれほど「学問の冒険」を試みることができる のかが,スタッフの日常的な研究交流のなかで頻繁に問 われたきたことの帰結であるのだと言えよう。
 この点は今回の自己評価結果にも現れている。評価対 象となった人文学部教員の専攻は11に跨り,成果を得る までに長時間を要する基礎研究分野に携わる研究者の数 が多い。しかし,国内外の学術専門誌への論文掲載,招 待講演・基調講演,研究集会の組織,等々の研究活動に おいて,研究成果の公表が非常に高い頻度で実践されて いる。また,国内外における共同研究の組織化に関して 主導的な位置を占め,研究の組織化にとって必要不可欠 な科学研究費補助金の採択率でも上位校の定番であるこ とがデータの集積に基づいて明らかとなった。
 研究の社会的効果とその具体的な寄与においても,そ の活動の幅広さは特筆される。総じて,基礎研究に裏打 ちされた,極めて活性度の高い研究者集団が人文学部教 員なのだと言えよう。
 上記のように特徴づけられる人文学部教員の研究活動 の傾向は,研究評価の範囲外の事項ではあるが,大学院 における専門家育成の実績に連動しており,中規模公立 大学としては異例と言えるほどの数の若手研究者をこれ まで世に送り出している。今回の研究評価に対応して実 施した「個人研究アンケート」の回答には,この次世代 の育成こそが,研究活動の成果,あるいは研究の社会的・ 文化的効果の中核にあるとする見解が多数寄せられてい たことを申し添えたい。
 一方, 平成13年11月に東京都が策定した「東京都大 学改革大綱」を受けて,東京都立大学,東京都立科学技 術大学,東京都立保健科学大学,東京都立短期大学の都 立4大学は,平成17年度を目途に1つの総合大学として 再編・統合される過程の只中にある。同時に,東京都の 財政問題も絡み,現在は人事が原則凍結され,大幅な教 職員の人員削減という深刻な事態を迎えている。継続す る大幅な予算削減措置が質の高い研究の維持を困難とす る恐れも極大化している。しかし,こうした事態に教員 が消極的に甘んじているわけではなく,科学研究費補助 金を始めとする大型外部研究資金への申請を通じて, 日々質の高い研究の維持に臨んでいることは,自己評価 書の本文中にも明記した通りである。
 平成17年の新総合大学の発足と大学院部局化への移行 を睨み,これまで人文学部が蓄積してきた研究成果を継 承し,併せて,学術研究の急速な進展と多様化を捉えた 新たな総合的人文学の研究教育拠点をいかに実現してい くかが直前の改革課題として迫ってきている。



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