都立大の危機 --- やさしいFAQ
U. VQA(Very Quick Answers)
「とってもすばやい答え」編
短い質問に,たった一つの文で答えるシリーズです。
いくつかの流れを用意します。それぞれの流れをストーリーと呼びます。
ダイレクト・ジャンプ
U-1,
U-2,
U-3,
U-4
U-1 ストーリー No.1 「実学ループ」
[06/22/04,07/27/04 修正]
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Q-1: 「首都大学東京」ってどんな大学ですか?
東京都の産業活性化のために実学を中心に教育する大学です。
Q-2: 「実学を中心にする」ってどういう意味ですか?
卒業後に社会に出てすぐに役立つものを教えるということです。
Q-3: 「すぐに役立つもの」って何ですか?
例えば,英語を話す能力があるとか,PowerPointを使って発表ができるといった実践的能力です。
Q-4: 研究においても「すぐに役立つもの」が優先されるのですか?
はい,そういう面もあります。
Q-5: それ以外の面もあるのですか?
はい,東京都の産業振興にいずれ役立ちそうな研究です。
Q-6: その「すぐに役立つもの」,「いずれ役立ちそうな研究」というのは,
大学の使命である「大都市における人間社会の理想像の追求」とどのような関係があるのですか?
何の関係もありません。
Q-7: では,なんで「大都市における人間社会の理想像の追求を使命とする」なんて言うんですか?
石原都知事が言ったからです。
Q-8: 「首都大学東京」は,東京都の大学だから東京都のために奉仕する大学にするということですか?
その通りです。
Q-9: 都知事は,東京都の大学を,自分の好きに変えてもいいのですか?
いいえ,いけません。
Q-10: なぜいけないのですか?
大学は,国公立でも私立でも,公的な性格を持った教育機関だ
からです。
Q-11: 「公的な性格を持っている教育機関」とは,どういう意味ですか?
教育を行う機関は,公(おおやけ)のために教育の機会を与えるサービ
スをしているということです。
Q-12: 「教育の機会を与えるサービス」のどこが特殊なんですか?
子供や青少年が勉強している環境を与えているので,教育を行う
機関は自分勝手に教育活動を中止したり内容の変更をしてはならないということです。
Q-13: 教育機関は利潤追求のために教育内容を変更してはいけないのですか?
教育内容の変更は可能ですが,その時学んでいる者の権利を侵害するよ
うな変更はしてはいけません。
Q-14: 大学は利潤追求をしてはいけないのですか?
利潤追求が大学で否定されるわけではありません。
Q-15: 利潤追求ではない部分というのは何ですか?
利潤追求とは離れた「本来の研究と教育」という大学の使命です。
Q-16: 大学における「本来の研究と教育」とは,どんなものですか?
人類の財産である「学問の蓄積」,「学問の追求」そして「学問の継承」です。
Q-17: 抽象的でよくわからないのですが?
「学問」とは,「真理の追求」であり,産業振興などのために隷属されるものではないということです。
Q-18: 「真理の追求」とは,金に直接結びつかないということですか?
そのような特徴もあります。
Q-19: 「首都大学東京」は,「真理の追求」をするように設計されていますか?
いいえ,ちょっと乱暴な言い方をすれば「金になりそうな勉強」だけを中心にやるということです。
Q-20: なんで「首都大学東京」では,本来の「研究と教育」をやらないのですか?
設計した人達が,政治家と役人だからです。
Q-21: 政治家と役人は,「首都大学東京」の設計で何を目指したのですか?
都の4大学の人員削減をし,既存の大学,学部を解体することです。
Q-22: 既存の学部はどうやって解体するのですか?
学問の分野を無視して,大括り化します(都市教養学部がその典型例です)。
(社会学,心理学,教育学,文学,法律,政治,経済,経営,数理科学,
物理学,化学,生命科学,電気電子工学,機械工学は学部,学科として
存在しません)。
Q-23: 「都市教養学部」の「都市教養」って何ですか?
「都市文化,都市工学などそれが集積する東京でしか学べない,都市の文明」のことだそうです。
(2003年8月1日,都知事会見より)
Q-24: よく分からないのですが?
大丈夫です,誰にも分かっていませんから。
Q-25: なんで誰にも分からない学部を作るんですか?
石原都知事の選挙公約に「これまでなかったような大学を作る」という
のがあったからです。
Q-26: 既存の大学はどうやって解体するのですか?
法人化し,理事長,学長,学部長の順にトップダウンですべてが決定
できるようにします。
Q-27: 一般の教員や学生の声は聞かないのですか?
はい,「現場の声」は,いっさい聞きません。
Q-28: 教授会や学生自治会の声は,上にとどかないのですか?
おそらく,「話し合い」には応じても「協議」はしないでしょう。
Q-29: なぜですか?
教授会の権限を縮小し,おそらく学生自治会を大切にしないと予想され
るからです。
Q-30: 民主主義の否定のような気がするのですが?
はい,でも東京都では,それを「トップダウンの経営手法」と呼びます。
Q-31: なぜ「トップダウンの経営手法」を導入するのですか?
大学の経営効率化のためです。
Q-32: なぜ,大学の経営効率化が必要なのですか?
東京都が赤字だからです。
Q-33: 赤字解消のために,「大学の研究や教育」の内容を変えていいのですか?
もちろん,勝手にやってはいけないことです。
Q-34: では,なんで「やってはいけないこと」を強行するのですか?
東京都の産業活性化に大学を役立たせようと考えているからです。
Q-35: 「東京都の産業活性化」をどうやって大学からスタートさせるのですか?
大学で研究・教育することの中心を「実学」に置くところから始めます。
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U-2 ストーリー No.2 「単位バンクから都市教養学部へのジャンプ」
[07/08/04, 07/13, 07/17修正]
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Q-1: 首都大学東京の特色の1つである「単位バンク」って何ですか?
大学の授業を「単位」として見て,一カ所に登録する制度です。
Q-2: 「単位」って何ですか?
大学の授業を履修した結果,及第点を取った学生がもらえる数です。
Q-3: その数を銀行のお金みたいに貯蓄するのですか?
違います。この場合,バンクとは,データベースを指します。
Q-4: そのデータベースにはどのような情報が蓄えられるのですか?
(1) 首都大学東京の授業科目,(2) 大学が適当と認めた他大学の授業科
目,(3) 学外での学修や体験の内,大学が適当と認め授業科目に位置付けた
ものです。
Q-5: 入力すべきデータは,誰が決定するのですか?
「学位設計委員会」と「科目登録委員会」です。
Q-6: 「学位設計委員会」は,どんな人達によって構成されていますか?
学長,副学長,部局長,外部有識者です。
Q-6: 「学位設計委員会」は,何をするのですか?
どんな授業をどれだけ取ったら,どんな学位がもらえるのかを決定します。
Q-7: もらえる学位は,学部学科単位で決まっているはずですが?
首都大学東京では,そうならないようです(文部科学省が YES と言
うのか,注目したいところです)。
Q-8: 「科目登録委員会」は,何をするのですか?
「学位設計委員会」で設計された学位に対して,必要とされる
授業科目を評価して認定します。
Q-9: 「科目登録委員会」は,どんな人達によって構成されていますか?
学内委員と外部有識者です。
Q-10: 繰り返し出てくる「外部有識者」とは,どんな人達ですか?
例えば企業の経営者だそうです。
Q-11: 企業の経営者が,大学の授業を評価するのですか?
そうです。
Q-12: 企業の経営者が,大学の授業を評価できるのですか?
できない場合が多いでしょう。
Q-13: 大学の授業を評価できない人が委員会に入ったらどうなるのでしょうか?
「自分は評価できる」と思っている「有識者」は,積極的に発言して,
不要だと思う授業を認定しないでしょう。
Q-14: その授業の評価認定はどれくらいの頻度で行われるのですか?
毎年一回です。
Q-15: その評価は何に基づくのでしょうか?
評価基準項目は、教員の(1) 資格・業績
(現職、生年、最終学歴・学位、専攻分野、研究テーマ、研究キーワード、
最近の授業担当科目、研究業績、著書、論文、受賞、在外研究、
主な学会活動、社会等とのかかわり等)、と
(2) 授業方針、詳細な授業計画・内容、使用テキスト、習得できる知識・能力、
開講率、学生からの評価、成績評価の方法(レポート、試験の例示など)
です。
Q-16: その評価の結果,「単位バンク」認定を取れなかった首都大学東京の
授業はどうなるのですか?
学位に結びつく授業ではなくなります。
Q-17: その「単位バンク」認定評価を他の大学の先生の授業に対しても行うのですか?
そうです。
Q-18: 他の大学の先生は,「単位バンク」に協力してくれるでしょうか?
しないでしょう。
Q-19: なぜですか?
何も利点がないからです。
Q-20: 「単位バンク」によって,学生それぞれの個性やライフスタイル,
希望するキャリア形成に合わせた柔軟な履修形態が可能になるというのは本当で
すか?
嘘です。
Q-21: その根拠は?
(1) 「単位バンク」は,今の計画で行けば,一年目は「首都大学東京」
の授業認定だけで終わってしまいます。
Q-22: 他大学の授業の認定は,2年目以降ということですか?
そうです,だから(2) 柔軟な履修形態を可能にするほどの科目は,
2年目になっても「単位バンク」に登録されないでしょう。
Q-23: ボランティア活動なども単位バンクに登録されるのですか?
そのような構想です。
Q-24: どのような単位となるのでしょうか?
不明です。
Q-25: 何単位くらい取れるのでしょうか?
わかりません。
Q-26: いつ頃,ボランティアの単位が「単位バンク」に登録されるのでしょうか?
未定です。
Q-27: 「希望するキャリア形成に合わせた柔軟な履修形態」とは何ですか?
学部,学科,専攻でのカリキュラムを否定して,キャリアカウンセラー
という人が,履修形態を助言するというものです。
Q-28: そんなことをしたら,学部や学科の意味がなくなるのではありませんか?
はい,だから意味の分からない「都市教養学部」という学部の「都市教
養学科」という名前でいいのです。
Q-29: 学部や学科に教育や研究の主体がなくなるということですか?
その通りです。
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U-3 ストーリー No.3 「300万がゼロを採択する幻」
[09/06/04 07/04 修正]
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Q-1: 誰が「首都大学東京」という名前をつけたのですか?
石原慎太郎東京都知事です。
Q-2: 大学名は公募して決めたのではないのですか?
「公募」はしましたが,「公募」で集まった名前は参考にしただけです。
Q-3: では,何のための公募だったのですか?
名前を知事が決定する時の参考データが欲しかったからです。
Q-4: そういうのを公募というのですか?
一般から(公に)募集したという意味では公募のようですが,「応募の中
から厳正な手続きを経て選ぶ」手続きが欠けているので,普通の公募ではありません。
Q-5: 公募にはどれくらいの応募があったのですか?
応募人数3302名(インターネット2148,はがき1154),応募点数4047,
名称の種類828です。
Q-6: 応募の中でのトップ10の名前を教えてください?
1. 東京都立大学, 2. 都立総合大学, 3. 大江戸大学, 4 首都大学,
5 東京都市大学, 6 東京都大学, 7 東京メトロポリタン大学,
8 東京総合大学, 9 東都大学, 10 東京首都大学です。
Q-7: なんでトップの「東京都立大学」が選ばれなかったのですか?
1つの理由は,数が多いものから選ぶ公募ではなかったからです。
Q-8: 数の多い応募を採用しないというのは,都民や国民の声の無視ではありませんか?
そうです。
Q-9: 他にも理由があるのですか?
同じ名前は認めないという都知事の方針があったからです。
Q-10: なぜ同じ名前ではだめなのですか?
「新しい大学」であることを印象づけたかったからです。
Q-11: なんで「新しさ」にこだわるのですか?
「新しいもの」が良い,と知事が信じているからです。
Q-12: なんで知事にとって「新しいものは良い」のでしょうか?
自分が,常に「新しいこと」をやっていると人々にアピールしたいからです。
Q-13: 応募の中には「首都大学東京」がなかったのですか?
はい,ありません。
Q-14: 「東京都立大学」という名前は,応募点数の中の何パーセントだったのですか?
「東京都立大学」は2604点あったので,2604÷4047で約64%です。
Q-15: 「首都大学」とか「東京首都大学」という名前が近い名前だと思うのです
が,応募点数の中の何パーセントでしたか?
「首都大学」は,31点でしたから,31÷4047で約0.8%
です。「東京首都大学」は,16点でしたから,16÷4047で約0.4%です。
Q-16: そんな限りなくゼロの名前を知事が選んでも誰も文句を言わないのですか?
都立の4大学の教職員、学生、院生の中には反対の声を上げるべきだと
主張する人々がいましたが,公式の抗議声明は出ませんでした。
Q-17: なんで抗議をしなかったのですか?
知事は、初めから「公募の中から自分で選ぶ」と宣言していたからです。
Q-18: 宣言したら,どんなことでも都知事は好きにやれるのですか?
違います。
Q-19: だったら,なぜ最初の宣言の時点で抗議できなかったのでしょうか?
おそらく,すぐ前の選挙で石原慎太郎氏は300万票取って当選したと
いう事実があったからです。
Q-20: 300万票と大学名公募のつながりがよく理解できないのですが?
知事が「自分で公募の中から決める」と宣言したことに抗議しても,
300万人の都民が「そのどこが悪いんだ?」と反論するのではないかと恐れたのです。
Q-21: 300万票だと,大学名の支持率がほとんどゼロでも採用されてよい,
ということですか?
いいえ,違います。きっと300万票という幻影にとり憑かれただけです。
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U-4 ストーリー No.4 「断固とした改革という幻」
[09/10/04 09/11/04x2 09/13/04 修正]
Q-1: 石原都知事が大学改革をしようとしているのに,なぜ大学の教員は反対しているんですか?
大学の教員は,改革自体に反対しているわけではありません。
Q-2: 大学の教員は,何に反対しているんですか?
教員や学生と話し合いをしないで,一方的に作った案を押しつけてくるからです。
2003年8月1日以降の「一方的な改革案」に反対しています。
Q-3: でも,何人かの大学の教員が話し合いに加わっていると聞きましたが?
はい,今回の一方的な改革案作成に参加したごく少数の教員がいます。
その他,都立の大学の学長や学部長も,今では話し合いのテーブルについています。
Q-4: だったら,話し合いはしているのではありませんか?
学長や学部長は,大学や学部の代表者として意見を述べてはいけな
いと言われていました。
Q-5: それでも意見は言えるのでしょう?
はい,でも「東京都の案」に反対しても,無視されます。
Q-6: 具体的に,どんなことが無視されているのですか?
Q-7: なぜ,「単位バンク」は大学教育を破壊するのですか?
「単位バンク」は,「科目登録委員会」が認定した授業なら「首大」だけでなく「他の大学」の授業や
ボランティア活動なども単位として認定する制度で,
「学位設計委員会」が,学部コースのカリキュラムをさらに独自な観点から変更できてしまいます。
Q-8: いろいろな大学の授業が単位として認められるなら「いい制度」ではないですか?
現在でも,大学には単位認定制度があり,他大学で取った単位は一定の
限度のもとで認定されます。
Q-9: 「単位バンク」と単位認定制度の違いは何ですか?
「単位バンク」は,まず,「科目登録委員会」が個人の先生の授業を評
価し認定するのに対して,単位認定制度は,大学間の協定でできています。
Q-10: その他にも違いがあるのですか?
「単位バンク」の「科目登録委員会」の認定にパスした授業は,おそらく
無制限に履修できてしまいますが,単位認定制度の場合には,上限〜単位と
決められています。
Q-11: 「単位バンク」に登録されない授業は,取れないのですか?
Q-12: 「単位バンク」が変なシステムだというのは分かるのですが,
だったら教員の方が対案を出したらいいのではありませんか?
2003年12月には,例えば GPA の導入が都立大の改革案ワーキンググループから
は提案されていました。管理本部には,その他にも
修正提案が提出されています。
12月3日総長説明会にて。GPAについては,
ここを参照。
Q-13: そんな提案,聞いたことがありませんが,どこかで発表されたのですか?
2003年の11月〜以降,「対案」作りが進んでいたはずですが,
どこかに公式に発表されたという話は聞いていません。
Q-14: それでは,大学の教員が改革に賛成していると見なされないのではありませんか?
そうかもしれません。でも,2003年7月31日までは,大学管理本部と大
学側がちゃんと協議をしながら改革案を作っていたのです。
Q-15: 「断固とした改革」をするためには,なまっちょろい妥協をしないという姿勢
が必要なのではありませんか?
話し合いというのは,
双方が思ったことを主張し,お互いの言い分を聞
き,妥協しながらより優れた案を作っていくことです。
西澤潤一学長予定者も『大学案内』で妥協の必要性を主
張しています。D-10参照。
Q-16: それでは社会の急激な変化に対応した,迅速な大学改革ができないのではありま
せんか?
大学は,営利企業とは違い,人を教育する場所ですから,急激に変える
と一番先に被害にあうのは学生です。
Q-17: なぜ,社会の急激な変化に合わせて,大学の教育内容を迅速に変えると,
学生が被害にあうのですか?
大学生は,大学入学時の学習環境を保障されています。卒業までの4年間と,
さらにその倍の8年間は,入学時に約束された勉強ができなければいけないのです。
Q-18: 「迅速な大学改革」が,学生の勉強の支障になるのですか?
はい,新しい学部や学科をゼロから作るなら影響は少ないかもしれませ
んが,既存の学部や学科の教員が新しい組織を作る場合は,学部や学科の授業全
体に影響がでます。
Q-19: ようするに,「迅速な大学改革」は不要だ,と考えるのですか?
大学の教育改革に「速さ」を求めるのは危険だということです。
専門学校のような機関では,短期間で教育プログラムを変えることがで
きるでしょう。
Q-20: なぜ,大学の教育改革に「速さ」を求めてはいけないのですか?
本当に必要な改革なのかどうかを慎重に見据える必要があるからです。
Q-21: よくわからないのですが?
改革というのは,「良くする」という意味ですから,
ある「改革プラン」を実行したらどのような結果になるかを慎重に評価しなければいけ
ません。スピードは二の次です。
Q-22: それでは,社会からの要請に応えられないのではありませんか?
本質的な解決となる改革を5年かけて実行するのと,
よく問題を見極めずに1年で新しい「改革」(改悪?)を実行するのでは,
長い目でみたら5年かけた改革の方が良い,と言っているのです。
Q-23: 去年の8月1日から1年半で改革案を作るというのは,短すぎるというのですか?
その通りです。去年の7月31日までの改革案作成には2年以上かかっていました。
Q-24: その時までの改革案は破棄されたのですか?
そうです。石原知事が自分でサインしていた改革案を一方的に破棄しました。
Q-25: 「良い改革案」かどうかを評価するにはどうしたらいいのですか?
時間をかけてその「改革案」を(1) 理念,(2) 実行可能性,(3) 他方面
への影響などから検討し,改革実行後には,入念な追跡調査をすることが必要で
す。
Q-26: 追跡調査には,どのくらいの年月が必要ですか?
最低10年位は必要でしょう。
学生が卒業するまでに最低4年かかるわけですから,
10年の追跡調査で,やっと卒業生の6年間分のデータが集まるわけです。
Q-27: 大学法人は6年毎に再評価されるはずですが,それでは十分な追跡調査が
できないのでは?
はい、できません。
Q-28: だったら,どうしたらいいのですか?
2003年8月1日以降の「性急な改革」を,これまで大学教員や学生,
全国の教育機関などから寄せられた100以上の声明を参考に抜本的に手直し
して,6年後にすぐにまた手直ししなくてもよいような改革案
を作らねばなりません。
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