別名:「外注(がいちゅう)」。
使用上の注意: 「外部委託」というとその正体がなんとなくばれてしまう時に, カタカナ語として使うと効果的。「この際,おもいきってxxはアウトソーシング してみてはいかがでしょうか」というように使う。
説明:
◯ 元来は「外の資源を利用する」(out-sourcing)という意味。
◯ 一般論としての利点は,
(1) コスト削減, (2) 内部資源の有効活用,
(3) 内部では得られないスキルや資源を新たに取り込むことによる内部資源の高
度化,が挙げられている。
◯ 一般論としての欠点は,
(1) 中核業務の外注化で経営計画が策定できなくなる,
(2) 外注した部分の決算書のチェックができなくなる,
(3) 社員の士気が低下して生産性の低下につながる,などが指摘されている。
◯ 大学の授業でアウトソーシングを取り入れるという時は,「教育の外注」を
意味する。例としては,英語の授業を外国語専門学校に外注したり,
情報教育の実践的部分を情報系の専門学校に外注してしまうケースが考えられる。
◯ 「外部の優秀な人材を活用するのだ」,「内部の人間にはもっと適材適所の
仕事を任せたい」と言っておきながら,
実は「教員を正式に雇うよりも,アルバイトで安く済ませる」,「あふれた
人間の首を切る口実を作る」という発想が隠されている場合が多い。
◯ 「首都大学東京」では,すでに河合塾に都市教養学部の理念を外注して
3000万円を使っているし,英語教育と情報教育も外注すると宣言しているが,
それに係る費用の算定,カリキュラムの構成などはいまだに未決定。
関連説明のポインタ:
C-8 都市教養学部理念の外注
P-3 河合塾への外注の内容
H-2 アウトソーシングとは何?
H-7 河合塾てこ入れ案と英語教育
P-6 語学教育外注宣言
蛇足情報:
「教育の外注」は,大学では以前から「非常勤講師」や「集中講義」という形で
行われてきている。ある専攻で十分な教員がいない場合,「非常勤講師」や「集
中講義」をあてにしてカリキュラムを組む。通常,非常勤のコマや「集中講義」
の内容は依頼側からある程度の枠がはめられるが,授業の方法やその授業の効果
に関してのチェックは入らない。従って,授業評価の対象にならないこれらの
「外注授業」は,好ましくないとの意見が古くからある。
アウトソーシングという名称は,特定の業務の従事者を「資源」(source)と見な
し(従って,「物」と見なし),外の「資源」(=物)を有効活用しようという
発想からきている。教育のアウトソーシング(外部委託)というのは,
教員を「資源」(=物)と見なし,「金を払って利用してやろう」という
発想が背後にある。「金と物」の動きですべてを把握しよう,掌握しようという
近年の経済中心的価値観が社会の隅々まで浸透していることの現れである。
間連語:
<語学教育,情報教育,河合塾理念外注問題,必修科目廃止>
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