都立大の危機 --- やさしいFAQ

雑多情報(緊急性のない,細切れ情報を集めました)


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◎ [03/31/05] 気の毒な者

◎ [03/31/05] 不気味なもの3題

◎ [03/31/05] 科技大と都立大工学部の転出教員数

◎ [03/30/05] 学生の質問状に対する大学管理本部の回答

◎ [03/29/05] 非常勤教員の委嘱状加筆

◎ [03/25/05] 非常勤教員の委嘱状

◎ [03/24/05] 人文社会学系の入試結果

◎ [03/22/05] 人文学部送別会

◎ [03/21/05] 「ゲーム脳」の研究を首都大学東京が受託

◎ [03/19/05] 都立大キャンパスの建物の名称変更

◎ [03/11/05] 「首都大学東京」の学系とは何か?

◎ [03/04/05] 冗談2題

◎ [03/03/05] 学修カウンセラー3名が決定


● 学修カウンセラー3名が決定
2005年2月21日,単位バンク推進部会(第4回)議事録より
学修カウンセラー選考結果について

1 選考スケジュール
    1月17日(月)  第1回選考委員会
    1月21日(金)  応募締め切り
    1月25日(火)  第2回選考委員会
    1月27日(木)  1次選考(書類)結果通知
    1月29日(土)  2次選考(面接)及び第3回選考委員会
    2月8日(火)  2次選考結果通知
2 選考の状況
応募者総数104名 
1次選考合格者14名 
2次選考合格者3名(チーフ1名,スタッフ2名)
3 今後のスケジュール
    採用手続きと並行し,3月中に数回の研修を行う予定。

▲コメント
(1) 学修カウンセラーというのは,以前は「キャリアカウンセラー」と呼ばれていたもので単位バンクの1つの柱。
「学生に対しての履修相談をしてその学生のキャリア形成に必要な授業科目をアドバイスする」というのが学修カウンセラーのお仕事に対しての以前の説明。問題となったのは,「学修カウンセラーが学生個人にあったカリキュラムを設計できる」とされた点だが,どのような規定が実際に作られたのかは不明。

問題点は,「単位バンク制」は大学教育を破壊するおそれがある (都立科学技術大有志,2004年5月5日)を参照。

(2) 首都大学東京の1年の学部学生定員の合計は1510人。たった3人で1510人の学生の面倒をみて(1人あたり503人),将来のキャリアを見据えた個人個人の学生にあった履修アドバイスができるのだろうか? それに4年後には,1510×4=6040人になる学生のアドバイザー(1人あたり人2013人)となるはず。それとも今後,増員するんですかね?「経営効率に反する増員は,断固としてこれを拒否する」なんて誰かが言いそう。


● 冗談2題
1. 先日,「首大」の大学院学則を見ていた時のこと
「首都大学東京大学院学則」って,やはり変だということに気づきました。
「首都大学」「東京大学」「院」「学則」なのではないか? 「首都大学東京」「大学院学則」と読ませたいのだろうけれど,「首都大学」「東京大学」「院」「学則」とも読める。つまり,これは,大胆にも2つの大学の大学院の学則を定めちゃっている。「東京大学」が「これは誤解を招くから困る。大学の自治を犯すように解釈できるので,緊急に名前を変えて欲しい」なんて要望を出してもいいような気がしました。ま,面白くない冗談でした。(おそまつ)
ちなみに,読者の方から,「首都大学東京」の説明の「使用上の注意」を,以下のように書き換えたらどうか,という提案を頂きました。

なお,書類に大学名を書く場合,あらかじめ「大学」の部分が印刷されているケースがあるが,それでも気にせず「大学」の左に「首都大学東京」と書く。「首都大学東京大学」となるが無問題である。

というもので,これは,予備校の掲示板を見たら「首都大東京大」と書いてあったのを見て皮肉ったものです。

2. 「長」の呼称

A:  「早稲田が総長で,慶応が塾長,一橋が学長なんだ。」
B:「それで首都大は?」
A:「都立大は総長だったけど,首都大はトチョウになるんだってさ。」

理事長も学長も大学にいないで,都庁にいる大学なのだから,当りと言えなくもない。「都長」なんて書いたら,もっと笑えます。「首都大学東京都長」という危ない名前の誕生です。おそまつでした。


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● 「首都大学東京」の学系とは何か?
 「首都大学東京」には学系という組織が作られる。この組織は,奇妙なことに学則の中には登場しない。「学系」という言葉を学則の中に盛り込んで欲しいという教員側からの要請は無視された,と私は理解している。都立大学では,「学系」の規則(首都大学東京都市教養学部規則(案),首都大学東京都市教養学部人文・社会学系規則(案) 参照),並びに「学系長」の決定(任命 or 選出)が幾つかの学部で行われた。そのあたりの説明と疑問をまとめてみた。

1. 「学系」とは?
 「学系」とは,早い話が,「従来の学部組織」のようなものであるらしい。
そして,それは「首都大学東京都市教養学部」特有の組織である。「都市教養学部」には,1つの学科しかない。その学部の名前は,「都市教養学科」。従って,「首都大学東京都市教養学部都市教養学科」となるのだが,その中には,従来の人文学部,経済学部,法学部,理学部の一部(数学,物理,化学,生物),工学部の一部(電気・電子工学,機械工学)が含まれる。あまりにも雑多な集合で教員定数258名という巨大学部なので,当然1つにまとめることは困難だ。そこで,「学系」の登場となる。
 「首都大学東京都市教養学部都市教養学科」には,人文・社会学系,法学系,経営学系,理工学系が作られ,その中に◯×コースが作られた(経済学は消滅したので,経済学系とはならなかった。また都市政策コースは,新たに作られる組織であるが,なんとまだ未定なので,学系を作る必要もない!)。

学部等 募集人員 教員設定数
都市教養学部(Faculty of Urban Liberal Arts) 900人 258人
都市教養学科 900人 258人
  都市政策コース
人文・社会学系 200人 64人
  社会学コース   20人
  心理学・教育学コース   14人
  国際文化コース   30人
学系 200人 40人
  法律学コース   30人
  政治学コース   10人
経営学系 240人 35人
  経営学コース 240人 35人
理工学系 260人 119人
  数理科学コース 40人 22人
  物理学コース 45人 22人
  化学コース 45人 22人
  生命科学コース 50人 23人
  電気電子工学コース 40人 15人
  機械工学コース 40人 15人
都市環境学部(Faculty of Urban Environmental Sciences) 200人 67人
都市環境学科 200人 67人
  地理環境コース 30人 11人
  都市基盤環境コース 50人 15人
  建築都市コース 60人 22人
  材料化学コース 60人 19人
システムデザイン学部(Faculty of System Design) 210人 60人*
システムデザイン学科 210人 60人
  ヒューマンメカトロニクスシステムコース 60人 (18人)
  情報通信システム工学コース 50人 (14人)
  航空宇宙システム工学コース 50人 (14人)
  経営システムデザインコース 50人 (14人)
  インダストリアルアートコース 60人 12人
健康福祉学部(Faculty of Health Sciences) 200人 61人
  看護学科 80人 25人
  理学療法学科 40人 12人
  作業療法学科 40人 12人
  放射線学科 40人 12人
学部合計 1,510人 446人

学部・学科改組を簡単にできるようにするためには,学部名と学科名を同一にし て「大括り」することが望ましいという発想で作られたが, これでは現実に統一した教育研究,入試などが行えない。そこで「学部」ではな く,「学系」という名の登場である(筑波大学の「学系」は,純粋に教育組織である 「学類」とは独立した研究組織であり,意味が違うことに注意)。

2. 「学系長」の決定の仕方は?
 「学系」の長は学系長ということになるが, ここで「都立大学」と「首都大学東京」が2011年3月まで併存することが問題と なる。つまり,都立大学には学部,学科はあっても学系などないからだ。
 人文学部では,「首都大学東京都市教養学部都市教養学科人文・社会学系」の学系 長は,東京都立大学人文学部長を兼ねるという提案がなされて受け入れられ, その結果,2005年2月22日に学系長選挙が人文学部教授会のメンバーで行われた。 従来の人文学部長選挙と同様に, 院生と学生は,その候補者について信任投票をし,全有権者の2分の1が信任し なかった者を候補者から除く排斥投票権が認められた
 一方,法学部では,学系長は任命制で決められたそうだが,都立大学法学部長 は選挙によって選出された(最終的には同一人物になった)。このように, 学系長の決定の仕方は,その学系によってまちまちのようである。
 都立大学の各学部の学部長を選出するのは,その学部の教授会 メンバーであるから,現都立大の学則に従って決めればよい。それにも関わらず, 「都立大学の学部長=首都大学東京の学系長」という了解で先に「学系長」を決 めるて,それは都立大の学部長を兼ねるというのは順序が違うと思う。
 理学部,工学部の場合は,事情が違う。都市教養学部の中の「理工学系」は, 理学部と工学部の一部の合体であり,新たな組織である所から、学系長は 新たな意味を持つ長であり,都立大学の理学研究科長とは等しくないはずだ。
 ちなみに「都市環境学部都市環境学科」には,「学系」など無く,いきなり ◯×コースがある。「都市環境学科」は,大部分が工学部であるとはい え,都市研究所の大学院を含み,理学部の地理学科を含んだ組み替え組織である。 「都市環境学科」は,基本的に応用理工学的な集合体なので,「学系」のような 中間的組織を作る必要はない,ということのようだ。

3. 「首大」の学部長と学系長の関係は?
 「首都大学東京」の組織は,石原慎太郎東京都知事の意向通りに,理事長予定 者と学長予定者が決定され,学長予定者が推薦して 学部長と大学院の研究科長が決定された(2004年4月8日付文書)。 つまり,理事長→学長→学部長/研究科長まではトップダウンの決定だった。それに対して, 人文・社会学系では,これまでの人文学部長選挙とほとんど同じやり方で, 選挙を行いボトムアップに決められた。それに対して,法学系は,学系長 を任命制で決め(あくまでトップダウン?),都立大学法学部長は,都立大学則 に従って選挙を行いボトムアップに決められた。 「首都大学東京」の法学系長と都立大学法学部長が同一人物となったということ は,結果的に見れば学系長も選挙で選ばれたのと同じことになるのかもしれない。
 さてここで問題。
 理事長→学長→学部長/研究科長と下りてきた決定事項を学系が覆したり, 学系で話し合って決めたことが学部長/研究科長で否決される可能性が出てくる。 「都市教養学部都市教養学科」は,かくして上と下の衝突が予想される組 織である。さて学部長と学系長,どちらが強いでしょうか?

4. 経営学系と理工学系は,学系長を選んだか?
 この点に関しては,目下正確な情報がないので書けません。


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● 都立大キャンパスの建物の名称変更
 都立大学と「首都大学東京」が併存することになる南大沢キャンパス。 2005年4月からは,かなりの混乱が予想されます。そこで,校舎名をどちらの大 学からも同じように指すことができるように変更されることになりました。

本部棟、図書館は変更なし。
 教養部棟1号館
 都市研究所2号館
 経済学部棟3号館
 法学部棟4号館
 人文学部棟5号館
 新教室棟6号館
 学生部棟7号館
 理学部棟8号館
 工学部棟9号館
 工学部実験棟10号館
 理工教室棟11号館
 新理工教室棟12号館

1. これで本当に混乱が避けられるか?
 都立大の学生の立場から考えると,かえって混乱することが予想されます。 なにしろ,初年度は,大部分が都立大の学生なのですから。
「その件は,7号館へ行ってください。」
なんて言われても,ぴんとこないのは都立大生。
2つの新しい建物は,6号館と12号館。
「6号館から5号館へはどう行ったらいいんですか?」なんて,首大生に聞かれ たら,都立大生は困ってしまう。「新教室棟を出て,本部の入り口を入って直進 して,しばらくすると右側にエレベータがあって,そこの上が人文学部棟になっ ているから。本部棟は人文学部棟とくついているんだ。」というのなら, 都立大生にもイメージできるのだが。
2. ワンストップの掛け声で大括りされた「学生サポートセンター」
 「学生サポートセンター」というのは,何やらかっこいい呼び名のような気がす る。要するに,学生が行く窓口についた総称。今の「文系事務室」の部分が 「学生サポートセンター」になるらしい。それだけだったらまだいいのだが、 実は、教養棟、おっと失礼、1号館の1階の今の教養部事務室も 「学生サポートセンター」と呼ばれるようになるとのこと。細かく事務の窓口に 名前が付いていた方がずっと分かりやすいのに、「窓口の一本化」という 役人の世界のトレンドが大学に持ち込まれた格好だ。迷惑するのは学生だ(いや, 教員も)と思うのだが。

 「それは、1号館の学生サポートセンターへ行ってください。」
 「それは、4号館の学生サポートセンターへ行ってください。」

なんて言われてもわからん。そして,本当に窓口が1つだったら,4月からは 長蛇の列になってしまうぞ! まあ,複数の窓口を用意するとは思うけれど。
 工学部や理学部の事務室の一部も「学生サポートセンター」になるのかどうか は知らない。もし,そうなると,さらに2個所、学生サポートセンターが出来て しまう。
 名前だけでなく中身を充実させて欲しいのだが...職員は有期雇用 になってしまうので,今までいた都立大のことを知り尽くした事務職員が消えて しまうことも十分予想される。 つまり右も左も分からない職員で溢れかえる可能性が大なのだ。 恐怖の4月は,それはもう目前。


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● 「ゲーム脳」の研究を首都大学東京が受託
2005年3月16日にTBSのニュースで主に流れたらしい。まずは,そのニュースの概 要とブログのトラックバック先から。
1. 概要
TBS Headline news 2005/3/16(16日11:07)
テレビゲームの影響、都が本格研究へ

 少年犯罪が起こるたびに、その影響が取りざたされるテレビゲーム。東京都は、 テレビゲームが子供の成長にどのような影響を与えるのか、本格的な研究を 行 うことを決めました。 この研究は、テレビゲームやインターネット上で対戦す るオンラインゲームをする時間や内容によって、子供への影響が どう変わるか 調べるもので、東京都が、来月開校する首都大学東京に委託して行われます。
 テレビゲームで長時間遊ぶと、脳の一部が活性化されないいわゆる「ゲーム脳」 に なるという学説が一部で発表されており、東京都は、研究結果を受けて、子 供とテレビゲームの あり方に関する提言をまとめるということです。

 ブログの議論は ここらへんからスタートすればよい。(「首都圏大学」という名前もどこか に登場します(笑)。)

2. 「首都大学東京に委託」ってなあに?
 そもそも今回のTBSでのニュース源が分からない。いままでのパターンから推論 すると,都知事がどこかでぽろりと言ったという可能性も高い。 そしてその「掛け声」に呼応して東京都の役人が動く。すると,「首都大学東京」 の誰かの所に話が下りてくる。思い起こせば,今回の「都立大--首都大学」論争 は,すべてこのパターンだった。
 都立大で脳研究に携わっている一人の研究者に声を掛けてみたら, 「そんな話は私のところには来ていないし,ゲームなんて興味ないから。」とい う返事が返ってきた。この研究者の他に,都立大での関係した研究者は「身体運 動科学」関係の方々。彼らは,日夜精力的な研究をしているにもかかわらず, 「首都大学東京」では,オープンユニバーシティ配属になってしまい,研究科か ら追い出されてしまったかっこうになっているはず(実際に,1名は転出する)。
 そこで私のよみ(はずれるかも):「都立大にゲーム脳研究を引き受ける研究者 はいない。」
 もしも引き受けるとしたら,研究費と研究機器を提供してくれれば何でもやっちゃ うよ,という工学系の研究者(そのような人が本当にいるかどうかは分かりませ ん)。可能性としては,「科学技術大学」の研究者かな? それにしても問題なのは,これからも「首都大学東京」は,このようなパターン で,ずーーーーっと東京都のお仕事を押しつけられるということ。これが, 「首都大学東京の本質」なのです。これからもどんどんいろいろな注文が東京都 から降ってくるでしょう(もっとも行政と直結した研究をして知名度と権力と ついでにお金まで獲得できることが楽しくてしょうがない学者?もいると思いま すが)。

3. 「ゲーム脳」ってあるの?
 この質問に対する答えは,すでにブログ上でも否定的な見解が多く見られるのだ が,私の考えを簡潔に述べると:

(a) 「ゲーム脳」は,存在するだろう。
(b) ただし,それは「テレビ脳」,「ウォークマン脳」,「将棋脳」,「囲碁脳」 などと同じレベルの話。
(c) 人間の脳は,さまざまな人間の活動によって活性化の仕方が異なる。 その活動の種類によって活性化される部分も活性化されない部分もある。
(d) しかし,学問的に「ゲーム脳」を定義するのは極めて困難だろう。 まず,ゲームの定義が困難。単純なアクションもの,カードゲーム,ロールプレ イングゲーム,対戦型ゲームなどなど。
上記のニュースの説明では, 「インターネット上で対戦するオンラインゲームをする時間や内容によって、 子供への影響がどう変わるか調べる」と言っているが,これってオンライン で株の取り引きをしている大人への影響と同じだったりしませんか?
(e) 結論:
(1) 「ゲーム脳研究」は,その定義域の設定がそもそも困難であり, 因果関係を立証するも現状では非常に困難。
(2) 「長時間ゲームにはまっている子供達」(大人もね)は存在する。 それが脳に与えるダメージはあるだろう(逆に特定の課題に対しては, 極度に活性化されている部分もあるかもしれないし,ないかもしれない)。

ついでに言えば:
 テレビゲームだけを叩くのは変。そもそも, テレビを見ている時の脳がいかに不活性化しているか知っていますか? 「ぼーっと」テレビを見ている時,ほとんど何も考えないで時間を過ごしていま すよね。あの影響は未だにヨーロッパでは深刻に受け止められていて, 「子供にはテレビを見せない」というのを実践している一般人もいるのです (日本にも少数ですがいます!)。
 「ウォークマン」,最近では,iPod でずーっと音楽を聞き続けるのも 脳の不活性化に貢献します。その他にも,現代文明にはいろいろな 「思考停止のための道具」がそろっています。それらで武装して日々を 過ごすと「思考停止の人々」が大量生産され,政治家にとってはとても楽ちんな 国民のできあがり。これこそ問題だと思うのですが,IT 社会ってのは, まさにこれですね。独善的な政治家に manupulate されない社会を作る のは極めて困難な世の中になりました。
 そしてもう1つ。 「それはゲーム脳のせいだ」と決めつけることで,問題を終わらせてしまう人達 が増えるだろうということ。すでにかなりのケースで,そのような「プロトタイ プ的思考停止宣言」が行われています。マスコミがこれを面白がって報道すれば するほど,「ゲーム脳」という言葉は一人歩きします。 「ゲーム脳」というレッテルがひとたび貼られれば,すべて解決したと 思う人達が増えるということ。困ったもんです。
 ちなみに「ゲーム脳」って,"Game? NO!" って言っている人達が担い でいる言葉なのかな?(だじゃれ)


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● 人文学部送別会
3月20日に人文学部では、送別会が行われた。退職予定者一覧なるものが配布さ れ,いまさらながら退職者の異常な数にため息がでた。24名がリストに載って いたのだが,その内,定年退職者は2名。ただし,ここには特別参加の茂木都立大総 長も含まれていた(総長になる前は,人文学部長をされていました)。定年退職 者と総長を除くと21名が転出または早期退職を選んだことになる。
以下,その時に話したこと,聞いたことなどからの雑感を少し。

1. 破壊されたのはどこか?
今回の「都立大破壊事件」で象徴的に狙われたのは,人文学部の文学科5専攻だっ た。その後,法学部,経済学部と次々に反対者が声明を出し,退職や転出の道を 選んだ教員がうなぎ登りに増えたのだが,その中であまり注目されなかったが 確実に変容してしまったのは,理学部数学科である。もともと流動性が高い「数 学界」ではあるが,就任承諾書は提出しておきながら,五月雨式に教員が転出を 決めている。そう,純粋数学は基礎学問,実利優先の「首都大学東京」とは, 油と水の関係なのだ。これから入ってくると予想されるのは「情報数学」関係で はないかと囁かれている。
 工学研究科からは,まったく転出者がでなかったのかどうか, 実ははっきりしない。「首都大学東京」の理系は安泰だという話を聞いたことが ある。ここに組合に加入している人の退職者リストがあるが,そこには,5名の 工学研究科退職者の名前が出ている。5名全員が定年退職だとはちょっと考えにくい。 ちなみに,理学研究科の欄には11名の教員名が出ていた。付け加えると,都立大の 組合組織率は,およそ50%だから,組合に加入していない人達はこのリストに 載っていない。
 「破壊されたのは都立大のどこか?」と言われれば,最初に挙げた人文文学科, 法学部,経済学部,理学部数学科ということになるが,実は,一番大きいのは, 就任承諾書を出した人達の心かもしれない。本当は就任承諾書なんて出したくな かった,という教員は多かったのだ。これは,自分の研究を続けるためには今の 職と地位を捨てられない, とか,自分の家族のことを考えると不安定な身分にいまさらなれない,と考えた 人達だ。私も,この2つの要素は当然考えさせられた。就任承諾書を出した人達 には,東京都の傍若無人なやり方に相当腹を立てていた人も多く含まれる。 その人達の心がむちゃくちゃに傷ついたのだ。今だから言ってしまうが,出した くないのに出すべきだと説得され,一晩泣いていた教員もいたという。また, 就任承諾書を出したあと,やはり取り下げたいんだと交渉に行った教員もいる。 都立大教員から首大教員になるのは(今後も)できるのだが,いったん首大に就 任してしまうと,非就任者としての都立大教員には戻れないのだそうだ。かくし て,恨みつらみがこうした都立大教員の心に深く刻み込まれた。かれらの中には, 非就任者を心の中で羨ましく思い,実際には非就任者を恨んでいて攻撃的になる ような人達もいる。ルサンチマンというのだろうか? 恐ろしいことだ。

2. 都立大工学研究科はなぜ黙っていたか?
 ずっとこのテーマで書きたいと思っていた。 実は,学内的には決して黙っていたわけではない。教授会でもさまざまな議論が 出たと聞いているし,2003年12月26日には, 東京都立大学理学研究科・工学研究科,東京都立科学技術大学工学研究科教員 110名による声明 が出ていて,工学研究科の教員も含まれている。 学内の集会では,大変立派な発言をされていた工学研究科の教員もいた。 しかし,たった1回の声明では,世間からすぐに忘れ去られてしまう。学外へ 反対の意思をはっきり伝える努力が足りなかったことは明らかだ。 その結果, さっきも述べたように,「都立大では人文系だけが反発した」とい う風評を拭い去ることはできなかった。では,就任承諾書を出さないという決断 をなぜ工学研究科教員はしなかったのだろうか?
 いくつかの説があるが,2つの説に対して短いコメントをつけておこう。

(1)  研究に忙しいから,そんなことにかかわっていられない。
 日夜実験をするか論文を書いているかのどちらかなので,就任承諾書なんてこと に長時間かかわっていることはできない,なんて考えた人達もいるのかもしれな い。工学研究科の実験系でなくとも,非実験系の人達を含めて 研究一筋の人達には同じような認識があった。私が思うに,彼らは 「自分の研究を継続できれば,大学なんてどこでもいい」 あるいは, 「自分の研究を継続できれば,自分の大学がどうなってもかまわない」 という人達だ。 彼らは,本当にぎりぎりになるまで大学の存亡には関心を示さない, というタイプに属する。
(2)  機器に縛られていて転出できない。
 実験系ではありうることだと思う。実験系の場合,大学の研究者となって, 自分の研究ができるような環境を作り上げるのには,研究資金が必要。 資金が調達できたところで,今度は設備を整えることになるが,機材の購入, 設置,調整を経て,大学院生を動員した研究体制を整えるには数年かかる。 そうして作られた研究環境を捨てて他大学へ転出するのは,日本では一般的に 無謀である。転出先で自分の研究を継続できる環境を作るのに,またまた 数年必要になり,その間,学会から取り残されるからだ。 研究者の引き抜きが日常化している欧米の一部では,このような場合, 引き抜く側があらかじめ条件を提示してくれ,そこで「あの機材とこの設備が 欲しい」と言っておくと,新大学に移ってそれほど時間を使わずに, 自分の研究を継続できるらしい。

工学研究科,理学研究科の多くの教員が「首都大学東京」構想の行方に関心を持っ ていたことは明らかで,その点では,科学技術大学でも同様だろう。 (ここ「やさしいFAQ」のサイトにも,工学部,理学部,科学技術大学の熱心な 読者がいる。 実は私も,一応,サイト管理者として定期的にログの解析をしています。 サーバーの管理もいろいろと経験してきているので,ある程度のことはできます。)

3. 「根は残された」という人文学部長発言
 話を元に戻そう。人文の送別会で南雲人文学部長は「根は残された」と 発言した。何のことか,というと,「都立大学人文学部が復活するための最低限 の基礎は残っている」という意味だ。これから「新大学」で力を合わせてやって 行くことで,近い将来,人文学部は復活するというのだ。本当に可能だろうか? おそらく,4月2日に予定されている 都立の大学を考える都民の会 の集会・総会で南雲氏自身が話してくれるだろう。
 どのようなシナリオを描いているのか,細部は分からないが, 「首都大学東京」と「大学法人」のような制度と組織が作られてしまった以上, それをひっくり返して<真の大学改革>をするのは茨の道であると思う。 大学管理本部は,ほとんど教員側の話を聞いてこなかったが(いつも話を聞くと いうポーズだけだった), これまでの総長声明,評議会声明の中で指摘された問題点を改善するのは, なみたいていのことではできない。ちなみに,送別会では,総長の方から 「あれ読みましたよ。」と私は声をかけられてしまった。もちろん,それは あの記事のことだろう。 残念ながら,その後で総長と話す時間はなかった。


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● 人文社会学系の入試結果
「首都大学東京都市教養学部都市教養学科」と書くとあいかわらずこんな名前を 付けた人を恨みたくなるが,その中の人文社会学系(要するに「都立大学人文学 部」)の入試結果が確定した。後期日程の2次試験結果の発表がされた訳なので, すでに受験産業などでもデータの分析を急いでいるところだろう。それほど詳し く記憶している訳でもないので要点のみを伝えよう。

1. 人文社会学系受験者のレベルダウンはなかった
2. 歩留まりは都立大人文学部より若干良かった

 一部では意外な結果だと判定されているが,受験者の数が減らずに増えたという あたりから,予想が変わってきた。事実,旧人文学部の入試専門家達(失礼, 「首都大学東京都市教養学部都市教養学科人文社会学系」の入試委員の方々) は,今回の受験生の手続き率を強気で読んで,ほぼ成功した
 レベルダウン無し,歩留まりも良し,ということは, 受験生は今までの都立大人文学部と「首大」人文社会学系を同じ だと判断したということだと思う。上で書いたように,21名が抜け ても,そのほとんどは文学専攻。都立大人文学部当時から,近年の花形は 「社会学」,「心理学」もちろん「史学」や「哲学」も伝統的に強い 専攻であり,今回のリストラでも人文の中ではほとんど無傷である ことが知られたからであろう。 受験生はそこらへんの情報収集をしていた。(検索エンジンからどのようなキー ワードで「首都大学東京」を調べてくるかをkubidai.comのログで見てみると, 社会学専攻の教員名が出てきたりする。)私は,この結果が 受験生が首大構想を積極的に支持した結果だとは思わない。彼らは,もっとさめ ている。
 さて,他の学系やコース(簡単に学科や学部と言えないところがまどろっこし い)の結果はいかに?


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● 非常勤教員の委嘱状
4月からの「首都大学東京大学法人」では,実は,多量の非常勤講師を採用する。 都立の4大学は3月31日をもって,すべて廃止するが,その翌日にすべて再設 置するという裏技を使うことはすでに繰り返し指摘していることだ。都立大では, 2003年8月1日以降から2005年3月31日までに,100人以上の教員が流出してしまう ので,都立大の授業だけを考えても非常勤講師に頼らざるをえない。また,外国 語(英語と未修外国語)の教員も大幅に減ってしまったので, 「首都大学東京」 では話題となった 英語授業の丸投げだけでは なく未修外国語の非常勤講師も大量に必要となっている。そこで,にわかにクロー ズアップされたのが非常勤教員の委嘱状問題である。

1.  「首都大学東京」の就業規則 2005年3月23日の緊急情報でも 伝えたように,「首都大学東京」の就業規則に関する話し合いは始まったばかり。 そして,この就業規則案と瓜二 つなのが非常勤教員の就業規則なのである。だからどうした,と訊かれそうだが, そこには今までの非常勤講師委嘱状とは異なり,解雇規定まで明文化されている。 法人化された大学は,基本的にこのような文書を配布するのかどうか,調べてい ないので分からないが,初めてこのような文書を受け取って熟読したら「びびっ て」しまう人も多いのではないか。

2.  法人が解雇することができる事由
いわゆる非常勤講師の委嘱状は,平成17年3月17日付,東京都大学管理本部長村 山寛司の名で出されている。この時点では,まだもちろん就業規則は定まってい ない(3月23日に提示された案ですら,最終案ではないはず)。その内容をそのま ま載せているのが「非常勤教員の委嘱及び労働条件の通知について」という文書 である。その中には,「法人が解雇することができる事由」という項目がある。

3 法人が解雇することができる事由
(1) 勤務成績が不良なとき
(2) 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないと き
(3) その他職務を遂行するために必要な資格又は適格性を欠くとき
(4) 業務上又は経営上やむを得ないとき

 雇用者と被雇用者の契約という観点から見れば,細部に渡る雇用条件の明文化は 必要欠くべからざるものだが,日本では「契約」という概念が元来薄く, その重要性がきちんと認識されてこなかったと言われている。その意味では, 「首都大学東京大学法人」がこのような契約内容を示したことは,大学社会の 中では画期的なことなのかもしれない。
 しかし,である。一般の公務員や会社員と教員は違うのである。 突然,ある非常勤の先生がクビになって授業が無くなってしまうということは, 教育責任という観点から見て非常識である。それも,雇用者側の一方的な 認定によるとしたら大問題である。
 具体例を考えてみよう。 大学教員が「勤務成績不良」と認定されるのは,いつどのような場合であろうか? そもそも「誰が」勤務成績不良と認定するのだろうか? 考えられる筋書きは,非常勤担当科目をかかえる学科をとりしきる教員が 「非常勤講師のAさんはどうも休講が多い」と理事長に伝えると,調査の結果, クビになるかもしれない(1)。年間,特別な理由も無しに3回以上休んだらあぶないか もしれない(筆者の勝手な憶測なので信用しないように)。 「非常勤講師のAさんはどうも風邪ばかりひいていて学生に風邪をうつしている のではないか」とか言われると(2)に該当するかもしれない。 「非常勤講師のAさんはどうもXという教科を教えるのに適格ではないのではない か」なんていうのは,普通考えたらありえない。何しろ適格だと思われる人材を 探してきて,非常勤講師を依頼するのだから。しかし、それにもかかわらず, 「あいつ,やっぱりXを教えるのに向いてないよ」なんて言われたら,(3)に抵触 するかもしれない。そして極めつきが(4)。 「業務上又は経営上やむを得ないとき」には, 「首都大学東京大学法人」は,非常勤教員のクビをいつでも切れる のである。これこそ,首大(クビダイ)の根本思想と見たり!

3.  委嘱状の中の「その他」
 そして,委嘱状の最後に「その他」という項目がある。

10 その他
(1) 履修申請の結果、履修生が存せず、開講できない場合、雇用主は本件 雇用契約を解約することができる。
(2) 本委嘱に際して記載した各種の労働条件は変更となる場合がある。

 まず,担当の授業に学生が全然こなかったら,雇用契約が解約される。 まあこれは当然だろう。何の授業もやらずに,お金だけもらうというのは非常識。 問題は,(2)だ。この「就業規則案」を無理やり委嘱状の中に入れたのだから, この一文が無かったら,「実際の就業規則と違うものを見せられて契約させら れた」と言って訴えられる可能性もあるから,このように付け加えたのだろ う。が,しかしである(本日2回目)。これを言ったらおしまいよ。 だって,いろいろ説明した挙げ句,「今までいったことは,全部チャラになるか もしれないから,そのつもりでね!」なんて言われたらたまったもんじゃない! こんな事態になったら,被雇用者側の権利なんて無に等しくなりませんか? 後で,「ああ,あの労働条件は,委嘱状提出の後で,変わったからね。」 なんて許されません。そうでしょう? 嗚呼,クビダイ!

4.  解雇の手続き(2005年3月29日追加)
 このように非常勤講師との契約条件を明示していることで,法人にとってはいざ という場合にさまざまな手段を取ることが可能になる。一方で,非常勤講師とな る側にとっては,「いつクビになるか分からない」というクビ大の怖さを思い知 らされることになり,非常勤委嘱状をもらっても,すぐに返事ができない人も出 てくる。立場上,もともと弱いので,それでも最終的には同意書を送付する人が 大部分であろう。
 そして,「解雇の手続き」に関しても,同封の書類は触れている。

(5) 解雇の手続き
 解雇を行う場合においては、少なくとも30日前にその予告をするか、または 労基法第12条に定める平均賃金の30日分を支給する。ただし、予告の日数は、 平均賃金を支払った日数に応じて短縮することができる。

30日前に予告が来て解雇される,というのは想像できること。しかし,その後 の労働基準法第12条は調べてみないと分からない。平均賃金とは,非常勤講師 の場合,いったいどのように算定するのだろうか? ともかく平均賃金の30日 分をもらったら「その場でクビ」と上記の文章は言っている。「または」 でつなげてあるので(exclusive "or"の解釈)。 その「支払った日数に応じて」予告の日数を短縮できるというのは,予告の日数 が支払い額に応じて,もっとずーっと短くなるかもしれない,ということだ。 細部がよくわからない「解雇の手続き」である。


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● 学生の質問状に対する大学管理本部の回答
すでに3月29日のところで簡単にコメントしたように, 管理本部からのこの回答は, 以下の3つの点からして不誠実きわまりない。
(1) 文書の責任が不明(誰がいつ,どのような責任において,誰に宛て作成した文書なのか?)
(2) 2005年3月時点での回答に,2004年12月の文教委員会の記録の要約を提出してきてもすでに意味のない個所がある。
(3) 教学体制の保全に関する質問状(2004年12月6日)の文書の質問に答えていない。
ここでは,(3)の点から検証してみよう。

質問1:法人化にともなう東京都立大学学則の改廃権限は、どの機関に属す るのでしょうか。

一見簡単な質問だが,実は奥の深い質問である。まず,学生側の論旨を追ってみ よう。議論を分かりやすくするために(A),(B),(C)のように記号づけした。

(A)東京都は、平成16年度末の東京都立大学条例の廃止をもって、現在の東京都立大 学(以下、都立大という)は廃止され、法人発足後に新たな都立大が設置される として、平成17年度以降の都立大の学則は法人が定めるとしています。
(B) しかし、私たち学生・院生が都立大に学籍を置いている以上、都立大が大学とし て断絶するかのようなことは到底ありえません。公立大学法人は、大学設置者の 地位を東京都から承継するに過ぎず、都立大が別の大学に置き換えられるわけで はありません。したがって法人化とは関係なく、都立大が大学として一貫性をもっ て存続することに疑いの余地はありません(たとえば、進級判定や休学などの決 定は、年度を越えて当然に効果を持ちます)。
(C) また現学則は、都立大でおこなわれる高等教育について、私たちと東京都の間で 締結された契約の内容を表しています。すなわち、私たちの身分や地位に関する 事項だけでなく、現学則には、学内機関や施設に関する各種規定が設けられてお り、それらが変更されれば私たちの処遇もその影響を受けざるを得ません。しか し私たち学生・院生の権利と地位が、法人化を理由として一方的に変更されるこ とが許されないのは明らかです。
(D) 以上から学則の改廃は、現大学の最高意思決定機関である評議会によって、適正 な手続のもとで行わなければならないものと考えます。

(A)は東京都大学管理本部の主張,(B)は「都立大が大学として断絶するこ とはない」という主張の説明,(C)は「都立大の現学則が,学生と東京都の間で締 結された契約の内容を表わしている」ことの確認であり,学生側の出した結論は (D)である。

 「学則の改廃は、現大学の最高意思決定機関である評議会によって、適正 な手続のもとで行わなければならない」という学生側の出した結論に対して, 管理本部側は手続き的に(A)を行うと繰り返しているだけである。
簡単に言ってしまえば,
(a) 都立大学を法人化するとしても,現都立大学には学生も教員もいるし, 学則もあるのだから,それに従うべきだ。
(b) 学生は都立大学入学時に,その時点で都立大学との契約を結んだのであり, そこで有効な学則が根拠になっている。
(c) その学則の改廃権限は,学則に従えば「都立大学評議会」にある。
(d) にもかかわらず,「東京都大学管理本部」が「新大学」を作り,その大学を 法人化したいからという理由で,現存する4つの都立の大学を同時に法人化して しまいたいので,現大学の設置条例を廃止して新たに設置し直すというのは, 現在有効な都立大学学則を無視した蛮行であり,入学時に保障した 学則の無効を宣言するのと同等である

 では,大学管理本部を徹底的に問い詰めたら,どのような答えが出てくるだろ うか?
想定される管理本部の答えは
「法人化にともなう東京都立大学学則の改廃権限は、特定の機関に属すのではなく, 設置者権限である。」
となるだろう。ひらたく言えば,石原慎太郎東京 都知事が,都立の大学の設置者だから,都立の大学の改廃を含め,「改革」だっ て好きにやっていいのだ,と思っているのだろう。大学外の人から見ると, 「究極的にはそうだよね。」と思えるかもしれないが,そんなことをしたら, 学んでいる最中の学生は,重大な被害を受ける(そして、それが現実 に起きているのだ!)。もちろん,教員の方も被害甚大だ。大学には,学則があ り,その学則にのっとって教育や研究が行われている。その学則に定められてい ることを無視して,大学をいったん廃止するとか,学則を変えるというのは, 本来あってはならないことだと思うが、いかがだろうか?

質問2:法人化後の都立大において、教学上の責任と権限の所在はどうなる のでしょうか。 この質問の背景説明は,(E),(F),(G),(H)であるが, (E),(F)が理由となり(G)が結論,(H)は付け足し的である。

(E) 教育基本法6条2項および10条1項によれば、教育は、教員自らの責任において直 接に行われなければなりません。それゆえ、各論としての個々の講義については、 各教員が自身の責任のもとで直接に学生に対しておこない、総論としてのカリキュ ラム編成および教員人事については、教員組織である教授会が連帯してその責任 を負わなければなりません。しかし、都議会で審議されようとしている定款案は、 現在の教授会の権限を大幅に縮小しようとしています。教育上の責任と権限が対 応関係にあることは明らかですが、教育の総論的な責任を負う教授会から必要な 権限を奪ってしまうことは、その責任の所在を不明瞭なものにすることを免れま せん。
(F) 私たちが都立大の教育水準に合致した講義等を受けられることは、入学試験に合 格して、授業料を支払っている学生・院生としての当然の権利です。今後考えら れる問題として、教授会は、教員の減少による非常勤講師の手配などの対応策を 講じなければなりませんが、そのための予算措置がなされなければ、教授会は私 たちに対する責任を果たすことができません。またカリキュラム編成に関しては、 平成22年度までの現大学存続期間中であっても、数年後には新大学を中心とした ものになることが予想されます。しかしそのような中でも、都立大教授会は私た ちに対して従来と遜色のないカリキュラムと教育を提供しなければなりません。
(G) 以上から、私たちに対する教学上の責任が果たされる前提として、教授会の人事 権およびカリキュラム編成の権限を脅かすことは許されません。権限のない者に 責任を問うことはできず、能力のない者に権限を持たせることは無意味です。
(H) また経営審議会、教育研究審議会については、それぞれの機能、権限および構成 が不明確であるばかりでなく、教授会との関係も明らかではありません。このよ うな状況を放置することは、教学上の責任をあいまいなものとし、学習・研究環 境を危機に追いやるものです。

簡単に言ってしまえば,この第2の質問は,教授会が「カリキュラム編成権および 教員人事権」を持つことで初めて教員は,教員自らの責任において教育を行える はずだ,という考えに基づいている。  「教学上の責任と権限の所在」を問えば, 管理本部側は回答という名の文教委員会議事録の要約の中にある以下の言葉を 繰り返すだけだろう。
「教育研究審議会は全学的な教育研究に関する重要事項を審議し、 教授会については、部局ごとの教育研究に関する重要事項を審議する。」
「地方独立行政法人法第七十三条では、理事長と学長を別に任命する大学にお ける教員の人事は、学長の申し出に基づき理事長が任命するという規定になって いる。その規定を受けて、教員の具体的な人選に当たっては、人事委員会で検討 し、同審議会の審議を経て決定した教員の人事方針に沿い、専門分野の教員で構 成する教員選考委員会で候補者を選任し、学長の申し出に基づき理事長が任命す ることとしている。
 なお、教員は人事委員会あるいは教員選考委員会の構成員となるので、学生教 育あるいはカリキュラム編成を考慮した教員の選考を行い得る仕組みとなる。」

 この説明を読んでなるほど,などと考えてはならない。教授会から人事権を奪 うことが定款の中で明記されてしまい,人事委員会,教員選考委員会が実権を持 つことになった訳だが,教員構成員となるので あって,教員以外の構成員も口だしできる体制に なるところが問題なのだ。外部委員(という名の学外の委員)や経営サイドの委 員が加わることで,教員選考の基礎となる委員会がある教員を選考して推薦して も,最終段階で人事委員会から拒否されるという構造ができあがる。これは, 例えば筑波大学などでも起きている深刻な問題を抱え込むことになる。 つまり,最終段階で人事委員会が拒否するケースが出てくると, 教員の新規採用に至るまで予想外の時間がかかるということになり, その結果,恒常的に教員不足の事態が発生するのだ。
 制度を作ることばかりに注目している大学管理本部は,実際の運用上でどのよ うな困難が起きるか,ということには関心がない。そして,実害を受けるのは, 学生と教員なのである。学生の指摘を待つまでもなく,このような現場の教員の 声を無視した形での教員人事が行われてしまえば,教員組織である教授会が, 教育やカリキュラム上で最終的に責任を持つことができなくなる。
「X先生か,あの人は私たちが推薦した教員じゃないからね。カリキュラムの中 にどのような授業で入ってもらうか,うまく考えろって言われてもできないよ。 」となるのが関の山だ。まあ,教育研究審議会とかで,首大ではお偉方だけが 集まって<エイヤー!>とカリキュラムも決めてしまうのかもしれないが…。

質問3:学生・院生の身分保障や処分に関する事項は、誰の責任と判断のも とで行われるのでしょうか。
この質問に関して,直接関係しているのは(K)である。前段の(I)は, 都立大の学生・院生に認められている除斥権を廃止しようとしている動きについ てのもの。管理本部は,他の大学に無い制度だから不要という立場だが, 他の大学に無い優れた制度を廃止するという根拠が示されていない。 (J)は都立大学学内管理職の権限が,学生や院生の処遇にかかわるというもので, 質問3の中核。(K)では,学生部や学生委員会の廃止に伴い, 学生サポートセンターが設置され,その長が教員ではないらしいことに 関しての疑義が中心。

(I) 現在の都立大では「東京都立大学総長予定者選考規程」第8条の3 第3項を根拠に、 「学部及び大学院の正規学生」は、総長候補予定者のうち適任でないと認められ る者を除斥する権利を持っています。しかし定款案は、私たち学生・院生の信任 を受けていない者を都立大総長として任命しようとしています。さらに、懲戒な どをはじめとする処分や私たち学生・院生の身分について重要な決定をする評議 員、学生部長などの管理職が、十分な議論も経ないまま、法人化にともない廃止 されようとしています。
(J) 総長を初めとする学内管理職は、学生・院生の処遇の学内における平準化、懲戒 時の弁明の機会の保障、その他手続上の重要な決定をなすものとして、私たちの 処遇を決定する重要な機関です。私たちの処遇に関する事項は、教育的見地から 行われることが不可欠であり、現在は、民主的手続を経て選任された教員が管理 職としてその任務に当たっています。
(K) このような中で学生部や学生委員会の廃止後に設置される機関ついて、未だその 詳細が明らかにされていないことは、私たちに大きな不安と危惧をもたらすもの です。さらに、学生部長の後任とされる学生サポートセンター長が学内の教員で ないことは、上記の教育的見地からすれば到底許されません。私たち学生・院生 の処遇に関して、適正な手続を経て選任された学内の管理職や諸機関の存在は欠 かせないものと考えます。

第3の質問は,その後の説明と直接的に結びついている部分が見えにくい。 しかし,(I)の「除斥権」に関して,管理本部は認めないという立場を明確にし ている。(J)は,おそらく学則にかかわる部分で大学学内管理職の責務がどのよ うに発揮され,学生・院生の処遇が決定されるか,という部分に関係するのだ が,それに関して管理本部は
「法人化により、地方独立行政法人法に基づき教育研究審議会が設けられるなど、 大学運営の組織や進め方が今までと異なったものになる。新しい学則ではそうし た部分を反映させていく必要があるので、組織運営の部分を中心に学則の内容を 変更することになる。
 なお、教育内容を規定している部分や学生の身分保障に関する内容を規定して いる部分については、いわゆる教育保障の観点から、基本的には現在の学則の内 容を引き継ぐものになる。

という答え方をする。つまり管理本部は,現大学の学生の身分保障を規定してい る学則は,今の内容のままにすると言っている。しかし,都立大学 の評議会を廃止して,教育研究審議会という名の新たな組織を設けるというのは 単なる名称の変更ではない。 教育研究審議会のメンバーは, 「学長、学部長及びその他学長が指名する者をもって構成する」 のであるから,これまでのような選挙で選ばれたメンバーの代表者が集まる管理 職ではない。 学生・院生の教育保障,身分保障に関する決定を, これまで教授会や評議会がやってきたのとは,わけが違うのだ。 「学長、学部長及びその他学長が指名する者」次第で,例えば,学生の処分問題 に関しても大きな決定のずれが生ずる恐れがある。 従って,教育内容を規定している部分や学生の身分保障に関する内容を規定して いる部分に評議会廃止,教育研究審議会の設置がかかわってくるため, 基本的には現在の学則の内 容を引き継ぐものにならない と解釈できる。
 学生とのパイプ役である「学生部長」がいなくなり,学生サポートセンター長 という非教員(未だに誰がやるのか不明,一時はタレントの名前も出ていた)が やるというのも,学生・院生の声がそこで阻害されてしまう危険性を秘めている。 「ワンストップ」なんて不要なのだ。基本的に,学生・院生のさまざまな要望や 処遇を余すところ無く聞き届けてくれて理解できるような責任者が必要なのだ。 大学のことが分からない「学生サポートセンター長」なんて誕生してしまったら, 本当に責任を持って学生に対処できるのだろうか?


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● 科技大と都立大工学部の転出教員数
「大学に新しい風を」第6号(3/29,PDF) への科技大教員の投稿により,2003年度と2004年度の科技大と都立大工学部の教 員流出の状況が明らかになった。ここでは,そこで示されているデータを再録す ると共に,そこでの状況説明を引用し,簡単にコメントしたい。

1 科技大と都立大工学部の転出教員数の表
(「大学に新しい風を」第6号,P.15 より引用)

表1:2003年度 計7名
 教授助教授・ 講師助手
科技大
都立大 電気工学科
都立大 応用化学科


表2:2004年度 計6名 (現時点で分かる範囲で)
 教授助教授・ 講師助手
科技大
都立大 精密機械工学科
都立大 建築学科
都立大 応用化学科

2 上記の2つの表に関する説明
(「大学に新しい風を」第6号,P.15-16.より引用)

 上記のように科技大および都立大工学研究科における転出者は、 学部に比べる 他と多くない。また、上記の数字は、必ずしも当局の姿勢に反発して退職して いった人ばかりをカウントしているのではないので、現状では、工学系で理学 部や法文系のような深刻な頭脳流出は引き起こされていない。 これには、次の点 が考えられる。
1)理学研究科の物理、化学、生物系と同様に、工学部の研究には、大掛かりな 実験施設が必要な場合が多く、転出する労力が大きい。 2)他大学においても研究環境は厳しさを増しており、転出に伴う多大な労力に 見合うだけの魅力を他大学に感じていない。
3)大学改革案が他の研究科に比べると、定員削減の実害が少なく、 当局主導の産学連携を推進する応用指向の改革が工学部の教員にとっては、 比較的抵抗感が少ない。
 しかし、教員の間で、非常に冷めた雰囲気があるのも事実であり、 大学に対する 愛着心は確実に損なわれているように思われる。 実際、筆者のまわりにいる教員の あいだでは、
1) 任期制、年俸制による身分の不安定化
2) 研究予算の大幅削減、研究費の傾斜配分の方式の不明瞭化
3) 研究スペースの大幅減少や大型研究施設の運用の問題点
など、生活面や研究環境に対して、将来に不安を感じている人が多く、 これら の不満が爆発して、 一気に頭脳流出の問題が噴出してくる危険性 をはらんでいる状況にあるようにも感じられる。
 また、 来年度、 首都大学東京に赴任する新任教員がどれだけ大学に魅力を感じ てくれるのかという点も懸念される。科技大の例であるが、2000 年に採用され た40歳代助教授がわずか3年で転出、2001年度に約130倍の競争率を勝ち抜い て採用された30代後半の助教授もわずか1年で転出した。転出の理由は、定か ではないが先の見えない4大学統合が進む大学改革が少なからず影響したこと は容易に想像できる。
 新しく赴任される先生が、首都大学東京の未来に何らかの希望を見出してくれ るのかどうか、2、3 年後には答えがでると思う。 (科技大教員)

3 コメント
 すでに私は,人文学部送別会のところで, 工学部に関しての自分の憶測 を語っている。そこでは2つの理由を挙げたが,上で引用した科技 大教員の3つの理由と重なるのは1つだけだった。重なっていない2つの理由と は,

2)他大学においても研究環境は厳しさを増しており、転出に伴う多大な労力に 見合うだけの魅力を他大学に感じていない。
3)大学改革案が他の研究科に比べると、定員削減の実害が少なく、 当局主導の産学連携を推進する応用指向の改革が工学部の教員にとっては、 比較的抵抗感が少ない。

の部分だ。理由3)は当然想定していたが,2)の理由は想像していなかった。 そう,実は工学系と言っても,昨今はどの大学でも研究環境は決してよくないの だろう。もちろん,独立行政法人化した国立大学は一様に厳しい状況に置かれて いる。そして有名私立大学のほんの一部しか,潤沢な研究費を獲得でき,自らの 研究環境を構築・維持できるところは無い,ということらしい。そういえば, 私の場合も, 学会やワークショップなどに出かけて行くと,アカデミックな話題の合間に 必ずと言っていいほど,近年の「大学改革」の中でいかに自分の研究環境が悪化 したか,という話題が出て盛り上がるという経験をしている。 もっとも,近年では,都立大だと言うと,いつも決まって同情を引く立場なのだが。
 文部科学省は, 高等教育にこれまで以上の予算を配分するようなことを言っていたが,それが実 現するまえに,日本の高等教育機関での研究はひょっとして手がつけられないほ ど崩壊してしまうのかもしれない。 一部の「実学と完全に密着した分野」を除いては。


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● 不気味なもの3題

1 都立大学本部棟のある部屋の運命
タイトル通りなのだが,この部屋は都立大学が南大沢に引っ越してきてから, 2001年,都立大が2級事務所に格下げになり,大学管理本部という新たな1級事務 所が作られる以前,ここは「企画室」だった。

計画・財政[報道発表資料/2000年掲載(097) 大学改革体制の整備に以下の記述がある。
都立の大学を改革し、これからの日本の教育に新たな道筋を開く新しい大学の モデルをつくるための組織体制を整備します。
[13年度実施する項目]
・都立の大学の設置者としての諸機能を一元化して、教育庁に大学改革を強力 に推進する体制を整備します。
                      ・都立大学事務局については、学内の事務処理機能を担う機関として位置づけ、 現在の1級事業所(その長に局長級の職員を充てる事業所)から2級事業所 (その長に部長級の職員を充てる事業所)にします。 

その後,この部屋は「会計・施設係」となり,2004年10月中頃まで使われた。

2004年10月中頃,突然,この部屋は「新大学設立準備室入試担当」と名前を変え, 「首都大学東京」のコロニーとなった。ちなみに,ここには大学案内が積み上げ てあり,無料でもらえる状態になっていた。数奇な運命を背負った部屋で, 今後,何に使われるのか,不気味な部屋である。
企画室から首大設立準備室へ変貌をとげた部屋

2 「人文学部」から「5号館」へ
気がつかないでいたのだが,かれこれ一週間前に,人文学部棟の正面に 付いていた「人文学部」のプレートが「5号館」に変わったそうだ。 今日,その前を通って思わずシャッターを切ってしまった。 これで建物に「人文学部」という正式な文字がなくなったことになる (多分,他にはないと思う)。都立大学人文学部は2010年度まで存続するにもか かわらず,「人文学部」の名前が無くなったのは暗示的で不気味である。
人文学部から5号館へと変貌をとげた建物

3 極めつけは「封筒」
3月31日,「首都大学東京」の封筒を見せてもらった。実は,今,かなりの話題 になっている。なぜかって? それは,不気味だから。あの「首都大学東京」の ロゴが入っているだけなのだが,「暗い」のである。どれくらい「暗い」のかは, ヒ・ミ・ツ。本当は4月になる前に入手して,プレミアだとか言ってオークショ ンに出せば,高く売れたかもしれない(なんてね。ないない)。 これは,写真なし。ご自分で確かめられよ。
 ちなみに,正門の左右にあった「東京都立大学」のプレートは, 左側だけが残され,右側が「首都大学東京」に変えられている現場を本日(3月31日)目撃した。


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● 気の毒な者

 6月1日は,都立大学の開学記念日です。今のところ,「首都大学東京」の開学記 念日はありません。ですから,これはもっぱらの噂なんですが,6月1日におやす みなのは,都立大生だけだということです。でも,誰も本当かどうか分かって いなかったりします。首大生も気の毒ですね(そんなことが溢れているんで す)。なにしろ,事務職員の方々だって,つい数日前に初めて行き先 を告げられたばかりとか(意外に手堅い人事だったとか,どんでん返しがあったとか, いろいろな噂が…)。
 そこで,首大の開学記念日を考えてみました。

(1)  3月9日
(2)  8月1日
(3)  9月12日
(4)  9月30日
(5)  12月21日

えっ? 何の日から取ったかって?それは,FAQの中を探して下さい。 私は,(2)が最適解だと思うのですが。


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