都立大の危機 --- やさしいFAQ

M.   抗議活動とその反響に関する質問


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M-1  都立大の学生であるぼくたちは, いったいどうしらたいいんだろう?  次へ

ポーカス博士

10月13日には「都立の大学を考える都民の会」が旗揚げ準備会を行って,11月1日には 「都立の大学を考える都民の会」 が発足した。 10月14日には人文学部長が今回の事態について学生を相手に説明会をした。 10月15日には茂木総長自ら学生に対しての説明会を行った。このような説明会に積極的に参加して 情報を得て,何らかの行動することじゃ。自治会も立ち上がっているし, 大学院生や助手会のメーリング・リストもできた。 史学科院生会も発足し,さっそく10月9日付けで公開質問上を大学管理本部に 送っておる。決して諦めずに最後まで正しいと思ったことを貫く姿勢が大切じゃ。 わしら教員も,これまでになく団結しつつあるし,他の国公立大学や都民からの応援もある。 理不尽な東京都の要求には断固として抗議し抵抗していこうではないか。
 12月3日(水)には,総長の説明会が行われた。 12月21日(日)には「都立の大学を考える都民の会」主催の集会 (於:都立大学教養部棟110番教室)が開かれ, 茂木総長による独自の改革構想案に関する報告も行われた。 その様子は 「都立の大学を考える都民の会」のホームページに詳細に紹介されている。 都立大学は,ただ管理本部の新大学構想に反対しているのではない。 7月31日までの案とは別に,もっとみんなに支持されるような対案 を作ろうと議論を重ねているところだ
 しかし,早く発表したいと思う気持はあっても,全体的な合意の 得られないような代案は発表できない。その点で, 管理本部の案のように「不十分で,合意がなされていないもの」を いきなり発表するわけにはいかない。だから, 対案の詳細を決定して発表するためには,それなりの時間がかかる。 これは例によってわしの個人的な意見じゃが,いくつかの新大学の 柱を立てて,それを肉づけする形で複数の案を発表してもらい, 都立の新大学を学生や都民の声も反映しながら, あと一年かけて考えていくことができたらよい,と思う。問題は, その間に管理本部と都知事がどのような奇策を持ち出してくるかという点じゃ。

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M-2  そうですね, ぼくら考えてみるとできないと思うとすぐ諦めてしまうことが多いからな。 それで,都立大の先生たちはどのように抗議しているの?  次へ

ポーカス博士

総長は声明を出し, 学生や教員,さらに都民を相手にいろいろなシンポジウムや集会で事情を説明して回っている。 人文の文学科各専攻や史学専攻は,教員の賛同の元に外部サイトを開いたり,学生と協力 して外部サイトを作ったりしている。また学生が中心となって外部サイトを立ち 上げているところもある。 各自アクセスしてみて激励のメールを送ってみるのもよいだろう。

今となっては,非常に多くの抗議声明や要望書が出ているが, その中でも特に意味のある学内から出た声明は, (わしの偏見から判断して)次の7つじゃ。

  1. 2003年9月25日  東京都立大学人文学部教授会
    抗議声明
  2. 2003年10月10日  東京都立大学A類自治会執行委員会・夜間受講生自治会執 行委員会
    一連の改革及び新大学構想に対する抗議声明
  3. 2003年11月6日  東京都立大学理学研究科生物科学専攻大学院生・研究生一同
    理学部学生有志及び身体運動科学専攻有志

    「東京都立大学廃止と新大学設立」案に対する意見表明
  4. 2003年12月26日  東京都立大学理学研究科・工学研究科, 東京都立科学技術大学工学研究科教員110名
    東京都大学管理本部主導による一方的な「新大学設立」 準備の早急な見直しと 開かれた大学改革準備組織の再構築を求める声明
  5. 2004年1月21日  都立4大学教員の声明
    (東京都立大学,東京都立科学技術大学,東京都立保健科学大学, 東京都立短期大学の教員合計451名<2月3日最終集計>)
    都立新大学設立のための開かれた協議体制の速やかな確立を求める
  6. 2004年2月5日  東京都立大学評議会による「見解と要請」
    新大学の教育課程編成等に係る責任と権限について: 新大学計画に関する問題 点と要望(2004年1月27日付,pdf)
  7. 2004年3月8日  都立大学学生・院生連絡会
    抗議と要望(2004年1月21日シンポジウム「どこまで知ってる?都立大改革」 のアピール)

1. は,学内で初めて学部教授会としての意見表明が行われた声明として意味深い。 2. は,学生が初めてまとまって抗議の声を上げたもの。 3. は,人文以外の学生が初めて意見表明をしたという意味で極めて重要。 4. は,人文以外の都立大学の教員と科学技術大学の教員の意志表明として 大きな意味を持つ。 5.は,初めて都立の4大学の教員451名(57%) が現在の大学構想の進め方に異議を唱えたもの (都立大では381名,65%の教員が賛同)。 6.は,初めて都立大評議会が公式に現在の大学構想の進め方に対して 反対の立場を表明し,開かれた協議体制の構築を求めたものだ。 また,7.は,都立大学生・院生連絡会が1月21日のシンポジウムにあわせて 行った署名活動が含まれていて,3月8日の時点で2152名の都立大生が 賛同している。
 都議会に請願や陳情,署名活動も行われた(30,060筆集まったが, 2004年2月10日都議会提出時に有効だったものは 29,665筆)。 都議会の傍聴に行く教員や学生もいるし, 都議会文教員会の模様は,すでにいろいろなサイトで公表されている。 問題点が分かりにくいという批判に答えるために, いろいろな形で資料をまとめて発表している。
 都議会での文教委員の人たちへ現在都立大で起きている異常事態について説明 書をファックスを送ったり,メールを書いたりして活動している教員もいる。 大学の執行部と言われる地位にいる人たちは,いくつかのワーキング・グループ で新たな案を作るべく議論を重ね,これまでに部分的にシンポジウムや集会で 公表している。一方で,外部の学会や団体にも働きかけているが, 何も直接的に働きかけをしなくても, 積極的に支持を表明してくれている学会や団体も数多くある。今では,次のよう な学会や団体が意見表明をしてくれている。ありがたいことじゃ。 意見表明をしてくれている各種団体や学会は, 今回の東京都の突然の新構想発表とその後のやり方が, 単に東京都と都立大の問題に終わらない深刻な危機であると受け止めている。 「大学改悪の危機」,「学問の自由の侵害」,「非民主的な手法」 には,一同に異議を唱えている。そして今, 黙っていてはますますひどくなる状況を,教員も学生も再認識せざるをえなくなっている。


都立4大学廃止に関する緊急シンポジウム参加者・賛同者, 首都圏大学非常勤講師組合執行委員会, 山形大学教職員組合, 東京歴史科学研究会, 神戸大学教職員組合, 歴史学研究会委員会, 国公私立大学有志, 自由法曹団東京支部, 全国大学高専教職員組合, 京都府職員労働組合府立大学支部執行委員会 11/4大学問題学習集会参加者一同, 広島大学教職員組合, 朝鮮史研究会幹事会, 都留文科大学教職員組合執行委員会, 日本科学者会議東京支部, 2003年全国公設試験研究機関職員連絡会, 総合女性史研究会役員会, 日本科学者会議, 新英米文学会, 日本文学協会, 日本英文学会, 日本アメリカ文学会, 日本英語学会, 日本史研究会, 史学専攻の危機に関するOB会有志および賛同者一同, 東京学芸大学史学会, 日本独文学会理事会, 都立の大学を考える都民の会, 東京都立大学大学院国語学専攻OB・OGの会有志

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M-3  それでいろいろな抗議に対しての反応はある んですか?  次へ

ポーカス博士

まず大学管理本部宛ての公開質問状に関しては,結局ひとつも返事がな かった。誠実に質問しても,自分達に説明責任があるとは考えていな いらしい。すべて大学の教員が答えるべきだと公言してはばからないのは, 常識を疑ってしまう。
10月7日の総長声明に対しては,ようやく新聞が反応した。これは,朝日,毎日, 読売,東京新聞に記事が出たが, わしの独断的採点では毎日が一番まともな記事じゃった。 なかには大学管理本部の意見を逆に大きく報道して, それが正しいような印象を与える記事もある。このような機会があると, いかに新聞報道が各社で違ってしまうか,どのようなかたよりがあるかがよくわかるな。 新聞と雑誌報道はその後どんどん増えた。 ここ にまとめた表を載せてある。この中で特によく論点を整理している比較的公平な 論説は下の2つだ。 2003年12月22日 日本経済新聞朝刊の「都立大再編 石原流で対立」は,日 経にして初めて取りあげた記事だが,ほとんど管理本部側の取材しかしていない らしく,事実誤記も含めてかなりいただけない記事だった。


2003年12月12日 読売新聞社説(解説部 中西茂)
  都立大混乱  新大学構想に教員反発 一方的な改革 再考を
2003年12月24日 東京新聞
  特報 『新大学構想』 対立の構図
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20031224/mng_____tokuho__000.shtml

週刊紙では,10月6日発売の「東洋経済」 が大学管理本部の言ったことをそのまま鵜呑みにして書いていたが,その後, 「週刊朝日」,「サンデー毎日」、「週刊金曜日」,「サイゾー」が都立大問題を取りあげ,それぞ れ独立した視点で解説している。 月刊紙では「世界」が総長声明を含めて論評した。この記事を書いた村上義雄氏は, 「東京都の『教育改革』:石原都政でいま、何が起っているか」(岩波ブッ クレット No. 613,2004年1月7日発売,本体480円)をまとめ,都立大学の問題 と合わせて,都立高校や養護学校などでも東京都がいかに中央管理体制を 強化して,教師,生徒,教育システムに深刻なダメージを与えているかをリポートしている。
 インターネットのサイトは,英文,独文,仏文,国文有志,中文有志の5つの文 学系専攻だけでなく, 助手会や, 「都立の大学を考える都民の会」「開かれた大学改革を求める会」 が活発に活動している。 学生も,自治会や, 説明会を求める都立大生の会, 文系院生会も積極的に活動しているし, クラス単位でも理学部44クラス法学部23クラスがアピールを出 している。学外では,今話題の blog を使った 国立大学独立法人化の諸問題のペー ジと,その関連サイト 新首都圏ネットワーク,そしてやはり今話題の書き込み自由のシステム wiki を使った 岩崎氏による都立大 「改革・合併・廃校」問題検討ページ も必見だ。
 9月29日の都議会では,都議会議員の曽根はじめ氏が「都立の新しい大学構想」 の進め方に関してつっこんだ質問をしておるし, 参議院議員の櫻井 充氏は 10月7日付けで参議院議長宛てに 「国立大学法人化に関する質問主意書」を提出し,その中で都立大に関しても言及しておる。 つまりな, 現在の都立大学関係者が排除され,大学の自主性・自律性は損なわれている ことを訴えていて,文部科学大臣及び総務大臣に, 都立大学改革において大学の自治を尊重するよう東京都を行政指導すべきではな いかと質問(提言)しておる。ようやくアピールが伝わり始めているところだが, 戦いはまだまだこれからじゃな。

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M-4  そうか,これからが正念場なんだ。 ところで10月14日に発売になった「週刊朝日」には,都立大の話が2ページ載って いますね。先生はあの記事,どれくらい真実を伝えていると思いますか?  次へ

ポーカス博士

新聞の記事がこれまで地方版(東京面)にしか載らなかったのに対して,週刊誌は 全国版だからその影響は大きい。しかも「慎太郎流トップダウンに 教員激怒:東京都立大リストラ騒動」という見出しもかなりショッキン グだし,


作家,石原慎太郎知事は文学者が憎い? ー 人文学部が看板の東京都立大学の 改革をめぐり,東京との姿勢が関係者に波紋を投げかけている。構想の 具体化に「同意書」を求める手法に,石原流トップダウンの「リストラ策」 という反発が出ているのだ。

という小見出しもそれなりのインパクトがあるな。
しかし,この記事には3つの問題点がある。
まず第1 に,都が4つの大学の「統合再編」を進めているという部分。 それは昔の話で,都が4つの大学を廃校にし,新しい大学を作ろうとしている というのが正しい。 しかも,都民や都立関係大学に対しては廃校だと繰り返し言いながら, 文部科学省には「改組転換」であると説明している可能性が高い。 2番目に,人文学部だけのリストラだという ところに焦点をあてて書かれているが,それが中心なのではなく, 「学問の自由」と「大学の自治」が侵害されているところが 大問題なのじゃ。これは,放っておけば全国の大学改革の悪しきモデルになる 危険性がある。3つ目は,都知事のやり方が強引だとは書いてあっても, 違憲であるとか,法律違反であるとして追求する姿勢が一切ないのじゃ。 これまでも数多くの放言をしてきた知事に対して,明確に辞任を迫るような 姿勢が世間一般に少ないというのは情けない気もするな。大臣だったらとっくに 進退問題に発展しておる。

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M-5  それで気になるのは,この記事を読むと 都立大は大学改革に反対しているような印象を受けるんですが,違いますよね?  次へ

ポーカス博士

もちろんそんなことはない。都立大が総長をあげて主張しているのは, 民主的な話し合いのできる状態に戻せということじゃ。改革そのものに 反対していないのは,総長声明を見てもあきらかじゃろう。
7月31日前の時点の改革案でも, すでに人文学部ではかなりのリストラ案(34%)をのんだ形になっていたが, その時の管理本部は,大学側とちゃんと話し合いをしていたのじゃ。 本来は「日本語教育・日本語学」とか「文化関係学」, 「言語科学」といった新しい専攻が提案されていた7月31日前の 案に戻してもらいたいところじゃが,その前に,今のなんたら委員会でも, 都立大側の意見を尊重するような話し合いができる状態に戻してほしいのじゃ。

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M-6  あのー,総長は10月14日に学生に対しての説 明会をやったけど,15日には大学の先生たちを相手に説明会をしましたよね。 その場で何か新しいことが分かりましたか?  次へ

ポーカス博士

いま言ったばかりだが,総長は基本的に大学改革を行う意志を持っておる。 しかしだな,10月7日の総長声明以来,大学管理本部が改革派で都立大学が保守 派だと見られているところがあり迷惑しておるそうじゃ。 大学管理本部は急進派で人の言うことを聞かないアマチュアなんじゃな。 都立大学こそ真の改革派で, 現実の教育現場の姿とカリキュラムを熟知しているプロ集団なのじゃ。
それから「同意書」の件は, もうさっき言ってしまったのでよいとして,新鮮だったのは,人文以外の学部でも 今回の8月1日以降の大学管理本部のやり方に 強い不満を持っている先生が多くいたという点だな。 各学部の教授会で発言しても,その様子は外には伝わらないからのお。
これで,大学管理本部長が「反対しているのは都立大の人文だけ」と言ったらしいが, そんなことはないのを実感できた。他の学部の先生たちにも, 外に向かって発言できる場がなければならないと感じたな。なんとかせねば...

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M-7  10月25日に4大学教員懇談会が開かれたとい うことですが,何か新しいことが分かりましたか?  次へ

ポーカス博士

土曜日の夕方に南大沢で急遽行われたということもあり,参加者は50〜60名だっ たが,今回の「新たな大学構想」が実は8月1日以前からトップダウンで行われて いたことが科学技術大学の先生から指摘されていた。いきなり日野キャンパスは なくすから南大沢へ行け,と言われていたようじゃ。それに比べて,8月1日以降 の案では,日野キャンパスが残るのでとりあえず安心している教員もいるとか。 それでも,なかには南大沢へ配置転換されてしまう学科も依然としてあるようで, そういった人はもう学科が崩壊すると深刻に考えているようじゃ。科学技術大学 といえば学長が8月1日改革案に賛成する表明をしたが,あれは学長個人 が大学管理本部の意向に従って表明した意見だということがはっきりした。 教授会で,ウエブ上の声明の削除を要求した人たちもいたようだが, 学長は個人としてやったから問題はない,と主張しているようじゃ。 なんだか「個人として靖国神社に参拝する首相」というのと構図が似ておるな。

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M-8  10月27日に「サンデー毎日」に都立大の記事 が出たようですが,もう読みましたか?  次へ

ポーカス博士

ああ,読んだよ。10月24日の朝日新聞の記事と同じように,現在の都立大学の 学生の擁護をする内容が中心的に扱われているという点で好感が持てたな。 「サンデー毎日」の記事の記事のサブタイトルを知っているかい?
母校が消える! 東京都立大学が第二の東京教育大に
というものだ。過去の東京教育大学が消えたいきさつを紹介し, それと同じことが都立大学でも起こりつつあると指摘している。 教科書裁判で有名な故・家永三郎氏の著書 「東京教育大学文学部 栄光と受難の30年」(現代史出版会)を引用し, 大学の自治と学問の自由を守れと最後まで反対したのが文学部であったこと, 文学部の教員の多くは筑波大学に採用されなかったこと, さらに母校を失った学生,卒業生がいかに多くの不利益をうけたかを語っている。 確かに今回の都立大の件は,東京教育大の件に似ておるが, 違いはなんといっても最初から最後まで都知事の一存で自分好みの 大学を作ろうとしているところじゃ。
正確な数をまだ把握していないが,何百人という人文文学科の学生・院生は, 直接被害を受けるし,何百万人という都立大卒業生は母校を失うんじゃ! その痛みや苦しみを都知事や大学管理本部の人間は理解しているのか! 「あなた達のやっていることが直接の原因で, こんなに多くの人を苦しめているんですよ」と直接教えてあげたいと思う。
alma mater という言葉を知っているか? ラテン語で元々 「育ててくれる母」という意味だが,現在では多くの言語で「母校」のことを意味する。 都立大の学生や卒業生は今まさに 「自分を育ててくれた母」を失ってしまうような窮地に追い込まれているのだ。 それでも,新大学になってちゃんと研究・教育が引き継がれるなら救いがあるの だが。

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M-9  10月28日に都立大の大学見学会があって, 都立高校の進路指導担当教員がかなり出席したという話を耳にしたんですが, 新大学の構想の説明はあったんですか?  次へ

ポーカス博士

実は,わしもまだその話を聞いたばかりでな。 東京都高等学校進路指導協議会と関東地区高等学校進路指導協議会との共催の 見学会であったようだ.結論から言えば,管理本部側の人が最後に新大学の構想の 説明をしたらしいが,かなりの質問がでたということじゃ。
なんで南大沢の学部に全部「都市」という名前が頭についているのか,なんで 短大やB類が廃止されるのか,なんで伝統と実績のある人文学部が繁栄するような 構想にならないのか,社会に入って役立たないからダメだというような考え方で 大学を考えて欲しくない,などといった意見がでたようだな。 さらに注目すべきは,現在の都立大学の学生の学習権をちゃんと保障できるのかと いう問いに対して,4年間だけではなく就業年限のぎりぎりいっぱいいる学生にも 学習権を保障するというような返事もあったようだ。現場の進路指導の先生たちの 指摘は厳しいと予想していたのじゃが,都立大に対するというより,新大学構想に 対してこれだけ多くの疑問や懐疑の念が表明されたというのは,管理本部に とってもショックなことじゃろうな。

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M-10  都議会に対しての請願活動はいったい何をめざしているんですか?  次へ

ポーカス博士

署名を集めて住民の要望を議会にとりあげてもらうのが請願だが,今回の請願では2つ の願意が明記されている。


1. 大学管理本部が新大学に関して8月1日以降に発表した構想を見直し、その非 民主的な準備体制をあらためた上で、都立4大学のすべての構成員と開かれた協 議を行っていただきたい。

2. 新大学への移行に先立ち、新大学設立以前に都立4大学に在籍する全学生の 学習権を十全に保障することを確約し、その具体的な方策を提示していただきた い。

まあ,最低限のことしか言っていないが,この2つが認められれば,そこから 次々と別の問題に広がっていく可能性はある。 十分な数の署名が集まり,複数の都議会議員のバックアップが得られれば, 都議会で具体的に議論の対象となるのじゃ。それをきっかけに,より多くの 人たちに今回の新大学構想がかかえているさまざまな問題を知ってもらえる。
この請願ための署名集めは当初12月初旬で終える予定だったが,署名集めは12月10日を 一つの区切りとする陳情(提出日12月12日)に変更になった。というのも11月26日にもう一つの請願 が出されて,来年の2月に都議会文教委員会で審議されることになったことで, この請願も2月19日に審議される。
 署名は、2004年2月9日に都議会に提出され,有効署名 29,665筆が認められた が,その後も署名が到着し,都議会に提出が間に合わなかった395筆を加えると, 30,060筆となった。協力して下さった方々に,心から感謝したい。

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M-11  11月に新大学の説明会があるって聞いたんですが, いつどこで開かれるんですか?  次へ

ポーカス博士

14日(金)に大学管理本部は新大学の入試概要や学部構成などを ホームページ で発表したんだ。そこに新大学の説明会についても載っている。

(11月17日東京都多摩社会教育会館鑑賞室で行われると 発表されていた説明会は,11月17日に管理本部のページから消えました.)
11月23日(日)11:00〜12:00および14:30〜15:30
東京都庁第2本庁舎1階ホール
【交通】 JR新宿駅 西口より徒歩10分
11月24日(月・祝)14:00〜15:00
都立短期大学新館大教室 昭島市東町3−6−33
【交通】JR青梅線西立川駅より徒歩6分
平成16年1月18日(日)14:30〜
東京都庁第1本庁舎5階大会議場
【交通】 JR新宿駅 西口より徒歩10分

と3日間場所を変えて行われる予定じゃ。 なんで南大沢の都立大キャンパスで行われないのか,と思ってしまうが, 当然大混乱になる恐れがあるからじゃろう。場所と時間さえ分かれば, 当然多くの人がでかけて行くし,マスコミも来るだろう。M-9 で触れたように,高校関係者が集まってくる可能性が高いので,どのような 結果になるか見ものじゃな。時間の取れる人は,是非でかけていって自分の目で 大学管理本部の人間の説明を確かめて欲しい。もちろん,質問時間もあるはず じゃ。

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M-12  11月17日に多摩社会教育会館で新大学の説明会はあったのですか?  次へ

ポーカス博士

実は管理本部のホームページから11月17日のお昼頃には多摩社会教育会館の説明会 が消えていたので,わしはてっきり「ドタキャン」かと思った.だが実際に行った 人からの報告が夜に入ったので行われたことが分かった.どうやら管理本部も やりたくない,知らせたくない説明会なようで,後で都民を相手にちゃん と説明会をやりましたよ,と言えるためのアリバイ作りのようじゃな.
報道発表には,「対象は,各高等学校の進路指導の先生及び 新しい大学に関心を持つ高校生とその保護者の方」と書かれていた. 聞きかじりの情報によれば,合計40名ほどが参加し,大学管理本部からは 10名ほどが来ていたそうじゃ.大学の概要説明があり,新大学の入試について の説明,そして質疑が行われ,予定より15分遅れで終了したらしい.
質疑応答の中で,わしの独断で面白いと思ったものをピックアップすると:


Q: すでに高校に応募が来ている「東京未来塾」と新大学の関係は?
A: 名称もまだ決定していない. 新大学への進学希望者のみが応募でき,夏休みや土・日のゼミナールで の成績を評価して,進学してもらう.だが、「東京未来塾」の管轄は 教育庁であり,大学側は直接関わらない.
→ようするに,未来塾は教育庁の管轄.管理本部は知りません, ということじゃな.

Q: 都市教養コースを卒業すると,学位の名称は何になるのか?
(この質問に対し管理本部側はすぐ答えられなかった)学位は“母体と なる”コース内でのものになる.都市教養学士という学位はない. 詳しいことは未定.
→つまり,都市教養コースを卒業した後にどんな学位が取れるか なんて考えてもみなかったということじゃ.

Q: 単位バンクの単位の有効期限というのはあるのか?
A: 半永久的というと語弊があるが,従来の6年とか12年よりもっと 長い,20年ぐらいを考えて検討している.
→今の単位互換制度と何か違うところがあるとすれば,ボランティア活動を 単位として認めることと, 年限ぐらいしかないからな,そこを奮発して 「単位バンク」 構想を新しいものに見せましょう、ということじゃ.

「都市」と「教養」というキーワードをくっつけて作って, 魅力のある大学だ,社会とのつながりを大切にするなどと宣伝 するのはいくらでもできる.しかしな,新しい学部,学科,コースを 作って文部科学省に提出するのなら,当然どのような学位を もらって,どのような就職先があるかを考えるというのは, 真っ先にやらねばならないことじゃ. それをしていないというのは, 政治主導で「大学構想」が作られ, 本来の「教育や研究」,「学生の就職先」 などは考えていなかった, というお粗末きわまりない現状を皆に知らしめた, というところだな.

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M-13  11月23日と11月24日の新大学の説明会は開かれたんですか?  次へ

ポーカス博士

11月23日は11時〜12時と14時30分〜15時30分に都庁で開かれ,11月24日は都立短 大で14時〜15時30分(30分延長)に開かれた。 説明会参加者は, 23日の午前中が,約60〜70名, 23日の午後が,約60名, 24日の都立短大では,約26名だったそうだ。 基本的に大学管理本部が, 大学の概要説明(20分),新大学の入試説明(30分)という 時間配分でホームページに発表されているものを一方的に読み上げ,残った10分を 質疑応答にあてるというパターンだったようだ。説明会に参加してメモを取って くれた学生によると,23日午前中の説明会では質問4つ,23日午後の説明会では, 2人が合計5つの質問をしただけだったようだ。
わしの「ひとりごと」を【 】に入れてあるQ&Aを見せようか。 これが11月23日(11時〜12時) で、これが11月23日(14時30分〜15時30分) の分じゃ。そして、 これが11月24日(14時〜15時30分)の分だな。 それ以外にも, このような優れたまとめも公表されておる。 11月23日(14時30分〜15時30分)の説明会に関しては,部分的に違う印象を受けた という 学生からの投稿もあるので紹介しておこう。聞く人が違えば解釈や印象も 異なるからな。
それにしても,本当に 管理本部の受け答えはいいかげんなものが多い。最後の1月の説明会では, これまで返答に困ったものだけを質問すると面白いだろう。 その後,ちゃんと検討しているかどうかが判明するからな。

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M-14  11月26日に都議会文教委員会に請願が提出されたって本当ですか?  次へ

ポーカス博士

そう,その通り。今回の請願は、 このようなものじゃが,署名集めをしている先の請願とは性格を異にしておる。 M-10で言ったような 「署名を集めて住民の要望を議会にとりあげてもらう」ものとは違う形になってお る。請願・陳情制度 を活用しようと考えていた時に,署名簿を作るのが請願だと初めのうちは信じ こんでいたのじゃが,問い合わせをしたところ署名の人数は関係なく提出できる ことが分かったのじゃ。さらに, 請願を提出する際は,都議会議員の紹介が必要なのじゃが,自民,民社,公明, 共産,生活者ネットワーク,自治市民‘93の文教議員の方々の所をまわって 請願に関しての相談をした。その結果,自民は与党なので都知事の新大学構想 に反することはできないとの立場を崩さず,この請願にはまったく耳をかして くれなかったのじゃ。都議会の民主党もあまり乗り気になってくれない。 公明党では,熱心に話を聞いてくれ,共産,生活者ネットワーク,自治市民‘93の 各党では親切に話を聞きながらアドバイスをしてくれた.今回の請願は, 現在署名活動をしている請願に比べて内容はより「マイルド」になっているのは, より多くの党が賛成しやすい内容にしたからじゃな。10名連記の請願と なっていて,来年2月の都議会で審議されることになる。
 請願は,委員会での審査された後,本会議において採択又は不採択,または 保留の決定をみることになる。今回の活動でしみじみ感じたことがいくつか あるが,東京都の政策を決定する都議会と都議会議員の影響力というのは, 大きなものがある。大学管理本部ですら,議会工作を行っており, 何も知らずに大学側がいると,いいように文教委員会でまるめこまれて しまうところじゃった。いかに重大な問題でも,与党自民党は反対できないような 構造があるとは,びっくりじゃ。そういうことを知って都民は投票しているの じゃろうか?

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M-15  なんで最初に出そうとした請願が陳情に変わったん ですか?  次へ

ポーカス博士

陳情と請願は,基本的に議会に働きかける手段としては 同じなのじゃ。決定的な違いは、請願の場合,紹介議員が必要になる。 M-10ように,限られた人数で最初の 請願よりも穏やかな内容の請願をすでに11月 26日に提出した。請願が無事に通るか否かは,都議会文教委員会で どれだけの賛同が得られるかにかかっている。 紹介議員は多いほどよいが,さっき言ったように与党の紹介議員が いないと話にならないのだそうだ。自民党、公明党じゃな。 さらに,文言がきついと,たとえ与党の紹介議員が名をつらねて いても,議員は党の方針に従うので議会では否決されてしまう可能性が 高い。
そこで文章的に厳しい要求をしている当初の請願を,紹介議員の必要ない 陳情にした,というわけじゃ。11月26日の請願は2月に審議される予定なので, 現在よりも多くの紹介議員を加えることができるかもしれんな。

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M-16  1月26日に文部科学大臣宛の要望書が出されたと聞い たのですが,どんな内容なんですか?  次へ

ポーカス博士

筑波大学の鬼界彰夫氏が作成された要望書でな。 2004年1月24日締め切りという形で大学教員や研究者の連署者を募った。北大の辻下 徹氏の作られた電子署名サイトhttp://poll.ac-net.org/4/ にアクセスして署名をした有志は最終的に1281名にのぼった。
 さてその趣旨だが,以前に学問 の自由の話(G-3)をしたことがあったが覚えておるか? 大学における学問の自由とは, その大学が国立,公立,私立を問わず,設置者たりとも犯してはならない権利な のだ。詳しくは,鬼界氏の書いた要望 書を自ら読んで欲しいのだが,

学術研究の根幹は、各研 究者の自発性に基づいた研究計画とその遂行が保証され、各研究者 の見識と良心にのみ基づいた判断がなされ,かつ公開されることが 保証されること

という部分に凝縮されている。
 「都立大解体」,「行政主体の新大学構想」という象徴的 (現在進行中の)出来事は,設置者があたかも私企業の社長のように振る舞い, 大学を好き勝手につぶしたり,改造したりできるという大きな誤解 を全国にばらまくことになる。 そんな中で「学問の自由」も,気がついたらもう元に戻せない ハンプティ・ダンプティのようになってしまっては,日本に未来はない。
 この要望書は次の3つの目的を持つ。


1.石原都知事の暴挙により日本の学術研究が蒙りかねない損害を 未然に防ぐこと
2.学術研究の水準維持と発展、及び学問の自由の保障に対して最 終的な社会的責任を持っていることの自覚を文部科学省に促すこと
3.学術研究を社会が支援することの意義と学問の自由の意味を国 民各層の人々に広く再確認してもらうこと


この要望書の特筆すべき点は,ただ都知事に向けた要望書ではなく, 文部科学大臣に直接的に訴え,東京都の暴挙に対して文部科学大臣には 「適切に指導し是正させる責任がある」と明言したところにある。 さらに,国民全体に,今,社会の中でないがしろにされつつある 「学問の自由」の尊さを再認識してもらおうという意図もある。
 不幸なことに,日本の大学は高等教育をほどこす場所であるとの 認識から離れ,受験勉強の終点だとか,社会へ出る一歩手前の 自由時間を過ごす場所だとか,社会へ出てお金を稼ぐための 知識や技能を身につける場所であるといった認識が広まってしまっている。 今,このような誤った認識をなんとか是正したい。 大学に入って,本来の学問の意味を理解し研究者になろうとしている学生には, このような偏見はないだろう。しかし, 本来の「学問の自由」という言葉は,ただ大学の研究者や将来研究職につきたい と願っている人たちだけに理解されているのでは駄目なのだ。国民全体が理解し て,初めて尊重される。これが理解されないまま,大学改革という名のもとに 日本全国の大学が行政当局の思うように変えられてしまったら, 本当の意味での学者は日本から消えてしまうだろう。 そして, それは人間性を失った 経済と効率に基づくだけの実利社会を 後に残すことになる。

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M-17   2004年2月19日の文教委員会で,請願1件が保留, 陳情3件が不採択になったのはなぜですか?  次へ

ポーカス博士

過去のいきさつについては, M-10M-14M-15 を見てもらおう。なぜ請願が保留,陳情3件が不採択になったのか? (実は,都立高校の統廃合に関わる陳情・請願は200以上出ているが,1つとし て不採択にはなっていないそうじゃ。) 正確な理由は,2月19日の文教委員会の様子が正式に公表されないと判断できな いところはある。しかし,すでに「開かれた大学改革を求める会」の 声明 が出ているし,文教委員会を傍聴した人達からの情報があるので, それをもとにして考えてみよう。

 請願 15第87号 11月26日提出 落合守和他9名 紹介議員 長橋桂一
 願意
 これまでに培われた都立4大学の教育研究上の蓄積は、都民の共有財産であるので、 都は、これらをいかした大学づくりをしてください。
結果 保留

「都立4大学の教育研究上の蓄積は、都民の共有財産」であるという認識は,あ まりにもあたりまえのことだが,今の「新大学構想」では, 現実に「都民の共有財産である都立4大学の教育研究上の蓄積」 を引き継げないような学部専攻が存在する。 典型的な例としては, 人文学部の文学・語学系の専攻,理学部身体科学研究科などだ。これらの専攻は, エクステンション・センターに置かれるとされるが, 学部教育の中からははずされてしまう。 さらに最近の案では,人文学部の哲学や史学までが, 学部の教員定員を減らしたものが出てきている。そんな中で, これまで蓄積した研究資料は, その維持管理が保障されていないばかりか,その価値を判断し, その研究を引き継ぐような人材が育てられなくなるし, これまで培ってきた教育研究環境が喪失する危機にさらされている。 この請願に対しての理事者(請願の対象者は大学管理本部)は,次のような答弁 をしたと伝えられている。

 管理本部(飯塚管理部長): 現在の状況を申し上げると、これからの都立の新しい大学は、 学際的な教育が必要であり、単に活かすのみでなく、 経営的視点を盛り込んで再構成することが必要。 社会からの要請に(を*)積極的に取り込み、新しい分野を盛り込んでいく。

「単に活かすのみではなく」という言葉は,前提として「もちろん活かします」 を含んでいる。つまり正確に言えば「都民の共有財産である都立4大学の教育研 究上の蓄積を活かすのはもちろんのことだが」という意味だが, だったら既存の都立の大学の知的財産を破壊するのではなく, 「新構想の大学」で確実に活かすことを考えて欲しい。幸いこの請願は保留 なので,これから再度審議される可能性だけは残されている。

陳情 15第88号 12月12日提出 荻野綱男他13名
願意
 次のことを実現していただきたい。
1 都立新大学の構想について、現在都立4大学とその大学院に在籍、在職する 学生・大学院生及び教職員に対し、大学管理本部が各大学において直接説明する 場を設けること。
2 東京都の新大学構想の中身を検討する教学準備委員会等の議事録を作成し、 関係者に公表すること。
結果 不採択
 採択に賛成: 曽根はじめ(日本共産党)、福士敬子(自治市民'93)、山口文江(生活者ネットワーク)
 採択に賛成しない: 石川芳昭(公明党)、臼井孝(自由民主党)、 遠藤衛(自由民主党)、大塚隆朗(民主党)、野上じゅん子(公明党)、 松原忠義(自由民主党)、村上英子(自由民主党)、山下太郎(民主党)、 山本賢太郎(自由民主党)、樺山たかし(自由民主党)

この陳情は,2つのことの実現を求めている。まず第一に「現在の都立4大学の 教職員と学生に対して,管理本部が直接説明する場を設ける」こと,そして第二 に,「教学準備委員会等の議事録を作って公表する」ことだ。 これに対しての管理本部の答えは:

 管理本部(飯塚管理部長): (第1点に関して)現状を申し上げると、新大学の構想については、設置者として決定したもの。 学生への説明は、学生に責任を負っている各大学が行うべき。管理本部としては、 ホームページを立ち上げ側面的にバックアップを行っている。
(第2点に関して)現状を申し上げると、大学改革については、賛否を含め、さ まざまな意見がある.教学準備委員会の委員が、立場に捕らわれず自由に意見を 言えるように公表していない。また、議事録は作っていない。決定をしたものに ついては、随時公表している。

はっきりいって幻滅するような返事だ。その話は、もう何百回も聞いた気がする。 管理本部は,大学や大学の先生が説明すべきだと繰り返すが,肝心の部分は管理 本部が決めているのだから,なぜそうなったのかを説明する義務は管理本部に あるのだ(反論をしたり,対案を出したりしても,一方的に退けてきた のは管理本部ではないか!)。 それに2003年7月末までは,管理本部の人達が定期的にさまざまな都立大の 「改革関連の会議」に出席して,説明をし,議論をしていたのに,8月1日から, まったくそのような場がなくなってしまった。ホームページで,決まったこ とを一方的に発表するのは,説明ではない。
 教学準備委員会で議事録をとらないというのは,密室会議だという証拠じゃ。 そもそも,管理本部が主張するように, 何を言っても許される会議ではないだろう。 「立場に捕らわれずに自由に意見を述べる」ことは, 議事録をとっていても十分にできることだ。そして、 自分の言うことに責任を持つのが大人の社会常識ではないか! 教学準備委員会は,子どもの集まりで好き勝手なことを言う場所ではないはずだ。 そして,これほど自明な内容の陳情が都議会文教委員会では不採択になったのだ。 自由民主党,民主党,公明党のそれぞれの議員は, 党幹事会が決定したからそれに従うなどという党利党略のもとに動いたとしたら, それは民主主義を破壊する暴挙だろう。一人一人の議員は, 都民に納得のいくようになぜ採択に賛成しなかったのかを説明する義務がある。 「管理本部は直接の説明をする必要がない」,「大学の未来を決める会議では議 事録が不要だ」ということに賛成したのだということが本当に分かっているのだ ろうか? もし分かっているとしたら, 自由主義の否定だろう。民主主義の否定だろう。公明さの欠如だろう。 都議会では,それがゆるされているのだろうか。

 そして3つ目は署名つき陳情だ。

陳情 15第89号 12月12日提出 開かれた大学改革を求める会(代表:西川直子)
     賛同署名として、第1回集計21,278筆、第2回集計8,387筆、計29,665筆を添付
願意
 次のことを実現していただきたい。
1 新大学に関して、大学管理本部が平成15年8月1日以降に発表した構想を見直 し、その非民主的な準備態勢を改めた上で、都立4大学のすべての構成員と開か れた協議を行うこと。
2 新大学への移行に先立ち、新大学設立以前に都立4大学に在籍する全学生の 学習権を十全に保障することを確約し、その具体的な方策を提示すること。
結果 不採択
 採択に賛成: 曽根はじめ(日本共産党)、福士敬子(自治市民'93)、 山口文江(生活者ネットワーク)
 採択に賛成しない: 石川芳昭(公明党)、臼井孝(自由民主党)、遠藤衛(自由民 主党)、大塚隆朗(民主党)、野上じゅん子(公明党)、松原忠義(自由民主党)、村 上英子(自由民主党)、山下太郎(民主党)、山本賢太郎(自由民主党)、樺山たかし (自由民主党)

 管理本部(飯塚管理部長): (第1点に関して)現状を申し上げると、新大学設立準備室の下で、教学準備委 員会を設置し、教学面についての準備・検討をしている。教学準備委員会には, 現大学の教員に参加してもらい、開かれた体制で準備を進めている。
(第2点に関して)現状を申し上げると、設置者として、現大学の学生について は学習権を保障する。現大学は、平成22年度に廃止するの(が*)、平成23年度を 越えて在籍している学生は新しい大学へ籍を移し、新大学の教育課程の中で該当 する科目などを履修していく方針を出している。各大学では、できるだけ早く学 生が卒業できるように、きめ細やかな指導をして行くことをお願いしている。

この陳情が最もはっきりと「8月1日以降の構想を見直せ」, 「非民主的な準備体制を改めよ」と迫っている。 最終的には「開かれた協議が行えるようにせよ」 と改善を求めているが,管理本部はもうやっているよと答えたわけじゃ。 見解の相違では済まされない重大な違いが見えないらしい。 「開かれた協議」というのは,だれでも傍聴できるような協議の場で, だれでも参加したい人が参加して意見を述べられる場だろう。 「教学準備委員会が開かれた協議体制だ」というのなら, 一般の教員の自由参加を認めたらどうだ,傍聴を認めたらどうだ, 部屋が狭いというのなら,もっと大きな部屋でやったらどうだ, 時間がかかるというのなら,たっぷりと時間をとって, 朝早くから始めて、昼食をはさんで8時間位かけたらどうだ, 「対案を出せ」と知事は繰り返しているようだが, これまでも何回も対案を出していても, それを蹴っているのは管理本部ではないか, 対案が出てきたらそれをたまには議論したらどうだ, 反対意見に耳をかたむけたらどうだ, 学習権の保障が「新大学」 でもできると考えるのがおかしいことに気づいたらどうだ, 2005年4月という時期をゴールにして, その時までにすべてを片付けようと考えるのは いいかげんにやめたらどうだと, 心の中では怒りが込み上げてくるのだが, 2月19日の文教委員会での管理本部の答弁は 壊れたレコード,壊れたテープレコーダー, 壊れたDVD(?)のように,永遠に同じ所を再生し続けていたようじゃ。
 このおよそ3万筆の署名つき陳情が不採択になったということは, 「管理本部がすでに開かれた協議をやっている」,「都立の4大学の学生の 学習権の保障は(具体案を含み)十分に行われている」ということを認めること だ。自由民主党,民主党,公明党の各議員には,都立の4大学の学生と教員, 3万人の署名者に対して説明責任を持つ。「教学準備委員会がいかに閉鎖的な会 議」なのかは,これまでの経緯を見れば誰だって分かるだろう。 「今の都立4大学の学生がいかに将来の不安をかかえているか」 学生から直接話を聞いた議員もいたはずだ。それなのに 「学習権が十全に保障されている」と本当に考えるのか?

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M-18   この頃,もう「首大」なんてどうでもいいやとい う気分になってきたんですが?  次へ

ポーカス博士

それは危険な兆候じゃ。 2004年3月16日の朝日新聞の「声」の欄に載った学生の投書 (失いたくない都立大の価値 大学生 中川光(東京都日野市 21歳)) にもあったな。


新たに開学する首都大学東京の初代学長になる西澤潤一氏の記事を「ひと」 欄で読んだ。私は首都大学に統廃合される東京都立大で生物を学んでいる。
その私が今回の統廃合についてひとごとのように言うとおかしく聞こえるか もしれないが、実際にひとごとだ。石原知事は教員や学生の意見を聞かず、自 分の考えをひたすら押し通してきたようにみえる。私の周りの学生の間では怒 りを通り越し、無関心が蔓延している。


何回抗議してもまったく埒があかない,何回抗議しても間違った数字を使い続け る,何回抗議してもいっこうに対話しようとしない,こんな状況が半年以上続い ているから無理もない。しかしな,怒りを通り越して無関心になり, 「首大」なんてどうでもいいと思ってしまうと,相手の思うつぼじゃ。 待ってましたとばかりに,いろいろな無理難題を仕掛けてきて,「首大」だけで なく,現存する都立の4大学の環境すら守れなくなってしまう。 自分の身さえ守れればと考えていると,自分の身すら守れなくなってしまう。
 <愛>とか<髪の毛>とか, 失った時に初めてその重要さに気づくようなものがある。 おそらくそのようなものの中には学問の自由もあり, 大学での教育・研究はそのような自由によって 支えられてきた。 朝日の「声」に投書した学生も自分の学問の自由を 意識しているに違いない。そして,それが根本的に正しいことなのだ。


西澤氏は記事で「反対する人たちは、大学を変えたくないだけ」と語ってい る。確かに、私は大学を変えたくないと思っている。
 動物生態学を学ぶため、私は進路に国公立大を選んだ。社会還元性が低いと みられる基礎研究の分野を扱うのは国公立大にほぼ限られるからだ。都立大は 動物生態学を学べる数少ない大学の一つである。
 都市問題の解決をめざす大学の創設は大いに結構だが、新しい大学の具体像 は公表されていない。現在の都立大が持つ価値を否定するものにならないよう 私は強く願う。


動物生態学を学びたいと思って大学に入ってくる。そして,動物生態学を 学ぶ。それはあまりにも当然のことだ。しかし,今の構想の「首大」では, そんな当然のことが保障されないかもしれない。例えばの話だが, 動物生態学を学ぼうと大学に入ってきたら, 動物生態学は社会還元性が低いからといって研究予算が減らされ, 教員のポストが途中で削減されてしまうかもしれない。 およそ基礎研究と呼ばれる分野は,今の構想を押し進めていけば一律に 同じような危機に直面する可能性が高い。 「現在の都立大が持つ価値」の中の重要な一つの側面は, 基礎研究だろうと応用研究だろうと自由に研究できるという点だろう。 「首大」がこのままの構想で成立してしまうと, 日本の大学から基礎研究が消えていく先鞭をつけたことになってしまう。 誰かさんは,しきりに「日本の将来を危惧している」から改革するのだとか, 「学生や都民のためになる大学」と発言しているが,基礎研究をおろそかに する国に未来はない。就職率だけを考えているような大学には, 学問は存在しえない。あるのは,技術と実利的知識のみだ。 経済的に困っている時こそ, 直接的に経済とは関係ない学問を大切にする姿勢を示すことが, その国や自治体の度量の大きさの証明なのだ。 「さすがは東京都だ。この経済的に厳しい状況の元でも, 学問や文化,福祉の予算はカットしない。このような所こそ, 世界が誇る文化都市だ。」と思わせる政策が必要だ。 それができない東京都は,三流都市という烙印を押される。

 東京都交響楽団の団員に任期制を押しつけたり, 図書館の予算をカットしたり蔵書の処分をする,病院を統廃合して保健所の 数まで減らしてしまう。民間の活力導入,民営化という掛け声の元に, お役所が都民へのサービスを次々と削減している。 これでも都民は黙っているのか? 投書した大学生が最後に象徴的な発言をしているが, 声を上げることが大事だ。


統廃合には教員のみならず多くの都立大生が反対している。私は石原知事や 西澤氏に問いたい。新大学の入学式で私のような立場の学生たちから「帰れ」 と言われる覚悟があるのかと。


入学式に知事が来るかどうかはわからんが,学長は必ず出席するじゃろう。 そこで「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とする大学が... とスピーチを始めた時に,それを聞いている学生が納得するだろうか? 「大都市における人間社会の理想像の追求を使命とする大学」 が本当に東京都民の望んでいる大学の姿なのだろうか? 都民にこの使命の意味が理解できるかどうか, 緊急アンケートをしてみるといいだろう。管理本部の説明を付けて, 「分かりますか?」と尋ねてみるがいい。 そして,都民が NO! と言ったら, 知事はこの構想を即時撤回するがよい。 意味不明な使命の元に作られる大学に, 価値はない。 「帰れ!帰れ!帰れ!帰れ!」の叫びが入学式で こだましないようにするには, どんな大学にすべきか,もう一度よく考えてみる必要があるだろう。

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M-19   史学科院生会が管理本部から回答をもらったって本当ですか?  次へ

ポーカス博士

そうらしい。わしは,2004年3月11日付での張り紙を見て知ったのじゃが, 史学科院生会が2004年2月12日に大学事務局に提出した管理本部宛の質問状に対しての答えだ。 管理本部側からの回答は,大学の事務局を通して口頭で伝えられたとい うことだ。回答をしてきたというだけで画期的だと思うが,書面にして証拠を残 さないというやり方には若干の憤りを感じる。まず,史学科院生会の張り紙の 中身を見てもらおう。


私たちの学習・研究環境は本当に守られるのか?
〜大学管理本部の言う、現大学在籍者に対する「保障」とは?〜

大学管理本部の言う「保障」とは、「保障したいという姿勢」であることを確認 しました。基本的には「保障する方向」だが、結果はわからない。 経営的視点から、その時々の状況で最善を尽くす。 これが管理本部の言う「保障」の内容だそうです。 学習・研究環境を具体的にどういう形で実現するかまでは、 保障していないとのことでした。

大学院生 「われわれが考える「保障」というのは、結果として「保障され
ている」状況になることをさしているが、管理本部の言う「保
障」  とは  「保障したい姿勢」  だけであって、 具体的にど
ういう形で 実現するか ということまでは 保障していないと
いうことなのか。」
大学事務局 「保障はするが、どういう保障になるかはそのときの状況
による」
*以上の内容は、史学科院生会が2月12日に大学事務局に出した、 大学管理本部宛の質問状に対する回答を元にしています。管理本部側から の回答は、大学事務局を通して口頭で伝えられました。

2004年3月11日  史学科院生会


今の都立大の学生・院生にとって,一番の関心事がまさにこの「学習・研究環境 の保障」であることは言うまでもないが,管理本部の立場からすると, 実際に保障するために何をするかまで踏み込んだ回答ができないのは当 然だ。例えば,教員流失に対して人事が原則凍結されている わけだから, 教育環境が悪化している。これを食い止めるには,人事凍結の解除しか ない。管理本部は,以前に「説明会を求める都 立大生の会」の質問 に対して, あたかも普通どおり人事ができるような回答をしているが, そんなことは断じてない(O-10)。
 また,大学の予算もこのところ毎年およそ10%ずつ 減らされてきたが,2004年4月からの次年度予算が,なんと「首大」の予算配分 を先取りするとかで大幅にカットされている。人文学部では,各専攻に配分され る予算がほぼ50%になってしまった(N-11)。これで, 学生の学習・研究環境を保障できるってわけがない!これまで, 頑張って科研費などの外部予算を獲得して頑張ってきたが,ここまで露骨に予算 削減が行われると,もうぐうの音もでない。ということで, 管理本部の回答内容は,無責任きわまり無いことが改めて分かった。
 「基本的には「保障する方向」だが、結果はわからない。 経営的視点から、その時々の状況で最善を尽くす。」というのは人を食った 話だ。保障をするというのは,結果まで含んだ行為であることを 知らないらしい。最善を尽くすというのは,政治家の好きな言葉で, <努力したことを認めてね,結果は問わないでね>という意味じゃ。 「経営的視点から」というのは,<金銭的に無理なことはやらないよ> という条件をつけているのだろう。
 「保障はするが、どういう保障になるかはそのときの状況による」 というのも<その時の状況によって保障内容は変わる>と言っていることに なるが,ようするに<できることはするからね>といっているだけで, 当たり前の行動を正当化しているだけ。 これを言ったら<とにかくなんでもやったら保障をしたことになる>という欺瞞だ。
 これからは,ただ「教育・研究環境を保障してくれ」というのではなく, 具体的に「人事凍結を解除しろ」とか「研究費配分をせめて前年度並にせよ」と いう必要があるが,これらは学生や院生が直接要求できる事柄ではない だろう。ここに学習権の保障を求める難しさがある。

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M-20   2004年4月28日に NHK首都圏ネットワークで「首大」設置申請 の話が取りあげられたそうですが,どんな内容だったんですか?  次へ

ポーカス博士

わしは残念ながら帰宅途中だったので,ビデオに録画することができなかったか ら,正確なレポートはできない。通りすがりの電気屋のテレビで見ることが できたのだが,うろ覚えで話の骨子をまとめてみると,こんな風だった。

とまあ,だいたいこんな内容だったと思う(不正確な表現や重大な聞き漏らしが あったら教えて欲しい)。結論から言おう。今回の報道にわしは極めて不満 だ。おそらく都知事の目から見れば,満足のいくものだったに違いない。
 この報道を見た普通の人は,「そうか,これで来年の4月 から新しい大学ができるんだな。今はもう,反対運動は行われていないんだ」 と思うに違いない。まず経過説明が非常にゆがめられている。 「知事の強い意向」で新たな案が登場したと言うと,「そうか, 石原知事が強い指導力を発揮したんだ」と思うじゃろう。現実はどうだったか? 話し合いを拒否して,非合法なことを強引に行って,勝手に自分好みの 改革案をでっちあげたのだ。これを,NHK用語では「強い意向」 と呼ぶのだとしたら,非常識にも程がある。これまで出た 数々の声明を読んだことがない記者が おとなしい言葉でまとめたとしたら,非常に罪作りな表現じゃ。
 「一部の教員や学生から反対の声が上がった」というのは,2003年10月頃の マスコミ報道だ。その後,「新構想」に対して 学生がいかに支持していないか,4大学の教員がいかに支持していないかが 明らかになり,そのような報道は消えていた。「一部が反対」 という表現はあまりにも誤った印象を与える。10人いて,その一部が反対と いったら,せいぜい2〜3人だろう。しかし現実には, 4大学合計で797人中451名(57%), 都立大589人中381名(65%) が反対しているのだ。学生も2000人以上が反対している。 これを矮小するのはとんでもない間違いだ。常に公平性を考慮して 報道をすることをNHKは心掛けているとしたら,今回の報道は あまりにも配慮の欠けたものだった。
 教員も96%が「新大学」へ移行する予定というのも,そのような 数字が出てくるまで,法的根拠のない意思確認書をめぐって, 文部科学省も巻き込んだごたごたがあり,再三に渡る恫喝が行われ, 何が書いてあっても,部分的に文面が書き換えられていても 提出されたものとしてカウントした のが96%という数の背景と実態だ。そのような事実に一切触れることなく, あたかも96%の教員がすんなりと「首大」へ移行するかのような 報道をしたのは非常に遺憾だ。
 今後,教員が就任承諾書を出すことになっている という件には,さらりと触れたが,今の一番大きな関心事は, (1)  設置審から,どのようなクレームがつくか?ということと, (2)  果たして,どれくらいの人が就任承諾書を出すことを拒むか? という2点にある。この2点に踏み込まずに,ただ無批判に「単位バンク」 をパネルを使って紹介し,これが「首都大学東京」の 大きな特徴ですなんて説明するなんぞ能天気としか言いようがない。

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M-21   2004年4月30日の朝日新聞に「都の新大学 仏か らノン」という記事が載ったそうですが,「首大」に関する記事だったのですか?  次へ

ポーカス博士

「首大」というよりも「首大構想で外国文学の専攻課程廃止」に対する署名運動 をフランスやベルギーの知識人が始めたという記事じゃ。 「首大」では,人文学部の教員定員139人を 64人にする(F-1) と言っておるがこれは 54%のリストラで,文学専攻(その内容は「文学 研究」だけでなく,「言語研究」,「文化研究」を含む)は消滅する。 都市教養学部国際文化コースの教員定数(合計30)の内訳が, 哲学5(マイナス1),歴史・考古5(マイナス3), 表象文化9,アジア文化と欧米文化が合計11 (E-1) となっている。つまり,英文,仏文,独文,中文,国文の文学科5専攻が 表象文化とアジア・欧米文化という別名のコースの合計定員20の中に押し 込まれる。 現在の人文学部文学科の2003年度の実員が79名だったから,およそ 73%のポストを学部から追い出した計算になる。 残りの教員はオープンユニバーシティ (旧仮称:エクステンションセンター)と基礎教育センターに押し込められる。
 このように文学科が消滅することに対して,フランスやベルギーの 知識人が声を上げたのだ。この記事に登場する声を拾ってみると:

目下17名の署名を石原知事に郵送するとのことだが, 作家・美術評論家のアラン・ジュフロア氏, フランスの代表的思想家の一人ジュリア・クリステバ氏, フランスの元国民教育相ジャック・ラング氏, ベルギーの新進作家アメリー・ノートン氏が含まれているという。 さらに,思想家のジャン=リュック・ナンシー氏,詩人・評論家 のジャン=リュック・スタンメッツ氏,フランスの国民議会の議員7名も加わっている。 この記事に書いてあるように, 「日本は欧米文化を取り入れつつ、伝統と融合させて文化を形成し てきたとの見方が定着していた」。他国の言語,文学,文化研究だけでなく 自国の言語,文学,文化研究をスクラップしようという「首大」の方針は, 「人文軽視」を明確に打ち出したものだ。 重点的に人材を配分するのは,これまでも繰り返し指摘しているように, 実践的研究,特に工学系の応用研究だけだ。 これは日本のたった1つの大学の話ではない。 あれだけ大きな声で「大学改革」,「新大学」と 叫んでいる都知事の暴挙が日本中の大学に影響を与える。本当は 「大学改悪」,「現大学の統合縮小」,「基礎学問スクラップ」による リストラでしかないことをもっと多くの人に理解してもらう必要がある。 ヨーロッパで活躍する都立大卒業生が,ヨーロッパの知識人達と語り合い今回の ような署名運動がスタートしたという話だが,今後,このような運動が世界的に 高まっていくことを期待している。東京都大学管理本部と石原東京都知事は, 世界の知識人を相手に暴挙を強行している,という構図が今,出現しているのだ。 この動きをもっと大きくするためには,海外でこれを読んでいる都立大出身者 に是非なんとか頑張って欲しい。
 日本でも加藤周一氏,大岡信氏がこの呼びかけに応えて署名しているとの ことだ(「開かれた大学改革を求める会」第4号ニュースより, 開かれた大学 改革を求める会のサイト)。

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